【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男で、金正恩(
キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害されたと伝えられたことで、その背景に関心が集まっている。 韓国政府消息筋によると、正男氏は13日午前、マレーシアのクアラルンプールの空港で身元不詳の女2人によって毒針で殺害されたとされる。 ロイター通信はマレーシア政府筋の話として「マレーシアの空港で死亡した北朝鮮の男性はショッピングエリアで倒れた。この男性は出入国審査を受けていなかった」と伝えた。 殺害の背景の解明については、容疑者の逮捕などを含め相当な時間がかかるものとみられるが、北朝鮮の関与を疑わざるを得ない状況だ。 正男氏は2011年12月に正日氏が死去してから主にマカオやマレーシア、インドネシア、シンガポール、中国など海外を転々とする生活を送ってきたが、正恩氏にとっては目の上のたんこぶといえる存在だった。 北朝鮮政権の崩壊など有事の際には正男氏が重要な役割を果たすとの観測も出ており、正恩氏が権力闘争の潜在的な脅威に対する徹底的なけん制と監視、ひいては暗殺の必要性を感じたとしても不思議ではない。 特に正男氏は正日氏の死去と前後し、北朝鮮の世襲体制を強く批判していた。 これに対し正男氏の叔父で後見人だった張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長は、12年に北朝鮮に一時帰国した正男氏に対し、北朝鮮の体制批判を控えるよう忠告したとも伝えられた。 しかし張氏が正恩氏によって処刑され、張氏の夫人で正男氏の叔母、金慶喜(キム・ギョンヒ)氏も病床に伏すなど、正男氏は後ろ盾を失ったとの評価が出ていた。 韓国に亡命した元北朝鮮高官は14日、「金正恩は金正男に北に帰国するよう指示したが、金正男がこれに応じなかったため、処断された」と話した。 韓国のシンクタンク・世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は「金正男の暗殺は金正恩の直接的な承認や同意なしにはできないこと」だとして、北朝鮮が関与した可能性を排除できないとの見解を示した。 一方、日本のある朝鮮半島問題専門家は「金正男はもはや金正恩委員長にとって脅威となる存在ではない」と述べ、「殺害したのは北朝鮮ではないかもしれない。(金正男が)北朝鮮の外で生活するようになり、危険な世界の人物とさまざまな関係があったと思われるが、これと関連するかもしれない」と推定した。
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