4都市のラストとなった新木場スタジオコーストでの2公演は、ステージ前方に紗幕が掛けられ、淡い光に照らされたメンバーがぼんやり浮かび上がる中ライブがスタートした。
2曲目「Hey Sun」で紗幕が振り落とされると、黒のデザインマスクで顔を覆ったメンバーが登場。曲が終わるとマスクを脱ぎ捨て、オ・ヒョク(Vo)は愛犬を模したという耳つきの帽子、イム・ヒョンジェ(Gt)はネイティブアメリカン風の被り物、イム・ドンゴン(Ba)はスカーフ型マスクをつけなおすと、ニューアルバム『through love』のリード曲的存在「Help」でリスタート。ボサノバテイストに合わせてメンバーが楽しげに体を揺らすと、会場も思い思いに揺れ出した。
ライブ定番曲の「Wanli(万里)」から「Citizen Kane」への流れは視覚的にも圧巻で、「Wanli(万里)」でスモークが真っ赤に染まるなか、シルエットだけのオ・ヒョクがハスキーな歌声を響かせ、「Citizen Kane」では軽快なサウンドに合わせてカラフルな光が踊るようにステージを彩った。
ライブ中盤の「New Born」では背面の白幕が落とされ、逆光に照らされたメンバーがひたすらノイジーなサウンドを5分以上ループ。代表曲の1つ「Love Ya!」では、客席エリアにも淡いピンクの明かりが落とされ、ピースフルな曲の世界に会場が一体となっていた。こうしたライティングを含めたステージ演出は、ミュージカル等を手掛ける韓国の演出家によるもので、リーダーのオ・ヒョクと話を重ねて曲ごとにストーリーを持たせたと言う。
また病気療養中で不参加となったドラマーのイ・インウの代わりにサポートを務めたのは、マルチプレーヤーのJNKYRD(ジャンクヤード)。「僕はヒョゴの友だちです」と流暢な日本語で自己紹介したように、ヒョゴのレコーディングエンジニアも務め、ヒョゴのサウンドを熟知している存在だ。すべてインウの生音をサンプリングしたという打ち込みやMPCプレイでリズムを再現、ドラム以外のパートも打ち込みに合わせ全員で編曲し直したとのことで、既存曲も新たなアレンジで聴けたのも今回の大きな特徴だ。
「アルバム『through love』を発売しました。すべてのものを愛するという意味を込めました」と、メモを見ながら訥々とした日本語で話したオ・ヒョク。愛の詰まった濃厚なステージは、音楽はもとよりアート集団として進化を遂げたチーム・ヒョゴの姿を目撃できた90分だった。
日本ツアーを終え、3月下旬はアジア6都市、4~5月はヨーロッパ16都市、6月末~7月は北米15都市のツアーを控えている。さらなる進化を遂げたヒョゴの、次の来日を楽しみに待ちたい。
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