“日本人拉致問題はすでに解決した問題”…北朝鮮の論理に憤る日本=韓国報道(画像提供:wowkorea)
“日本人拉致問題はすでに解決した問題”…北朝鮮の論理に憤る日本=韓国報道(画像提供:wowkorea)
岸田文雄首相が発足するやいなや不安材料が発生した。20年ぶりに最下位水準の支持率でスタートした内閣である一方、国民に国家観を伝える初の所信演説では毎日新聞や朝日新聞など地元メディアに落第点をつけられた。

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 「日本人拉致問題の解決が最優先課題」と野心的に叫んだが、当の北朝鮮は「すでに終わったことをなぜ何度も持ち出してくるのか」とし、北朝鮮外務省は「第一ボタンをちゃんと閉めろ」と叫んでいる。

◇「すでに解決した問題」…どこかでよく耳にした論理
 北朝鮮の立場はこうだ。2002年、当時の小泉純一郎首相の訪朝時に拉致問題について認めて謝罪もして、拉致被害者を日本へ帰国させたりもしたのに、一体何が問題なのかというのだ。北朝鮮は当時、日本人13人が拉致され、8人が死亡したと明らかにした。残りの5人は小泉首相とともに日本に帰国した。ただ、日本では拉致被害者が北朝鮮の説明より多い17人という立場だ。

 ”すでに解決した問題”とは、どこかでよく耳にした論理だ。慰安婦問題の解決において日本は「2015年の日韓慰安婦合意で最終的かつ不可逆的に解決された」という立場を変えていない。韓国では当事者がいなかった合意だと批判したが、日本は「国家間合意であるため、これ以上問題にするな」とむしろ韓国が国際法に違反すると主張している。

 日本が慰安婦問題が起こる度に固執していた論理を北朝鮮から聞く形になった。実際、日本人拉致問題に対する北朝鮮の立場は変わっていない。2019年、北朝鮮の立場を公式的に代弁する機関紙である労働新聞は「拉致問題で言えば、むしろ私たち(北朝鮮)が日本を大きく責めなければならない事案だ」と指摘した。日本の植民地時代の徴用工および慰安婦問題などに言及して「日本の国家拉致テロ犯罪の最大の被害者が我が民族」と主張したからだ。北朝鮮は歴史問題の解決なくして日本との対話もないと強硬な態度を維持している。

◇一時は良かった日朝関係、北朝鮮が日本に背を向けた理由は
 北朝鮮と日本の関係が良好な時もあった。19年前の2002年9月には小泉首相が平壌(ピョンヤン)で金正日(キム・ジョンイル)総書記と史上初めての日朝首脳会談に出席した。以前は拉致の事実そのものがないと主張していた北朝鮮は、首脳会談で拉致を認めて謝罪した。経済協力が切実だった北朝鮮が決断を下せば、日本の世論も北朝鮮に友好的に変わるというキム総書記の判断による決定だという。

 しかし、拉致事実の認定は右翼の餌食になった。日本は「戦犯加害国」から「拉致被害国」へと自らを新たにポジショニングし、北朝鮮との国交正常化前に拉致問題から解決すべきだという右翼の主張が力を得た。日本内の韓国人いじめもひどくなった。この時、反北世論に便乗して反射利益を得た人物が安倍晋三元首相だ。

 日本で日本人拉致問題が大々的に浮上したのは安倍元首相の功が大きかった。1988年、自民党幹事長の安倍晋太郎議員の息子で秘書だった安倍元首相が「北朝鮮に拉致された娘を助けてほしい」と訪ねてきたある両親に会ったのがきっかけだった。日本人拉致問題に対する安倍元首相の関心は1993年の国会議員当選後も続いた。東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学の出身者が大部分の日本政治家の間で成蹊大を出た安倍元首相をめぐって、同僚の政治家が「勉強できない安倍元首相が経済や社会を後回しにして正体不明の拉致問題を扱う」と嘲弄したが、意に介さなかった。

 北朝鮮が日本人拉致問題を公式に認めると、安倍首相は機会を逃さなかった。北朝鮮の人権侵害を強調し、右翼中心に「国交正常化以前に日本人拉致問題から解決すべきだ」という主張が力を得ていることを受けて、これを自らの政治的影響力拡大に積極的に利用したのだ。「拉致問題は安倍元首相が最もよく知っている」という世論のおかげで安倍元首相は小泉元首相の後に続いて2006年に首相になった。

◇反北世論を追い風に首相になった安倍元首相、岸田首相が継承
 北朝鮮という外部の敵を攻撃したことで安倍元首相はリスクが大きな選択をしたが、事の収集が問題だった。北朝鮮に拉致された日本人を帰国させると主張して首相になったため、約束を守らなければならなかった。しかし、背を向けた北朝鮮は冷静だった。2019年に安倍首相は2002年の「日朝平壌宣言」の署名者である小泉元首相と故金総書記の名前の代わりに「新時代にふさわしい署名者」へと変えようと提案した。北朝鮮の反応は“だんまり”だった。

 そして、これまでの日本に対する北朝鮮のわだかまりは深い。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は韓国や米国、中国など朝鮮半島関連国国家とは首脳会談を行った。韓国は特殊な関係であり、米国は対面しなければならないほどの敵対関係で、中国は同盟というそれぞれの理由からだ。しかし、第1次と第2次政権期を合わせると8年半という“最長寿首相”の記録をうち立てた安倍元首相とは一度も会っていない。また、日本とは現在も国交が正常化していない。

 岸田内閣が発足するやいなや、北朝鮮が刃を向けた理由もこれと関連がある。安保観においては安倍元首相との相違点が見い出せない人物が岸田首相である。内閣の顔ぶれだけを見てもそうだ。徴用工や慰安婦問題、竹島問題など、日韓関係の懸案を担う主務大臣の大半が極右傾向の人物で埋め尽くされているからだ。

 安倍元首相から菅元首相、岸田首相まで「キム・ジョンウン総書記と条件なしに対話する」という立場を固守しているが、北朝鮮の考えは違う。「日朝間の懸案の基本は、過去に日本が朝鮮人を対象に敢行した慰安婦生活の強要、強制拉致連行、大虐殺といった特大型の反人倫的犯罪をはじめ、わが民族に及ぼした計り知れない人的・物的・精神的被害に対して徹底的に謝罪と賠償をすることにある」という北朝鮮外務省の立場に照らして、北朝鮮は条件ある対話を望んでいる。

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