全斗煥元大統領が死去……だが、当時の傷跡は映画に残っている!(画像提供:wowkorea)
全斗煥元大統領が死去……だが、当時の傷跡は映画に残っている!(画像提供:wowkorea)
チョン・ドゥファン(全斗煥)元大統領が23日午前8時40分頃、ソウル市内の自宅で死去した。90歳だった。

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 故チョン・ドゥファン元大統領は、「粛軍クーデター」を起こして権力を掌握し、光州事件では民主化運動を軍隊の力で制圧するなど、韓国民主主義の歴史を後退させた人物と評価されている。その過程において多くの民間人が犠牲となり、80年代に民主化運動が盛り上がるきっかけともなった。

 当時の庶民の苦しみは、フィクション及びノンフィクションとして映画化されている。「つぼみ」(1996年公開)、「ペパーミント・キャンディー」(1999年)、「光州5・18」(2007年)、「26年」(2012年)、「タクシー運転手 約束は海を越えて」(2017年)などがそれだ。チョン前大統領は亡くなったが、当時の悲惨さは映画を通じて歴史に刻まれている。

 「つぼみ」(チャン・ソヌ監督)は光州事件を現場で直接目撃し、母親を失った衝撃で狂人となった少年の物語。イ・ジョンヒョンがオーディションにより、3000人の中から選ばれてデビューした作品でもある。イ・ジョンヒョンは同映画で映画祭新人賞を総なめし、人気俳優の仲間入りを果たした。映画はチェ・ユンの小説「あそこ、音もせず花弁は散って」を原作としており、イ・ジョンヒョンのほかにムン・ソングン、チュ・ソンミ、ソル・ギョングらが出演した。

 「ペパーミント・キャンディー」(イ・チャンドン監督)は、ヨンホという中年男性の人生を回想する形で韓国の悲劇的な現代史を見せてくれる作品。軍隊での服務中に光州鎮圧作戦に動員された主人公が、暴発事故で1人の少女を死なせ、精神的に苦しむ姿を描いている。巨匠イ・チャンドン監督の2作目の長編映画で、ソル・ギョング、ムン・ソリ、キム・ヨジンらが出演した。

 「光州5・18」(キム・ジフン監督)と「タクシー運転手 約束は海を越えて」(チャン・フン監督)は、平凡なタクシー運転手の目に映った光州事件の惨状を描いた映画で、それぞれ685万人・1218万人の観客動員数を記録した大ヒット作だ。「光州5・18」はキム・ソンギョンが、「タクシー運転手」はソン・ガンホが主演し、胸がつまるような悲しみを好演した。また、「光州5・18」に出演したアン・ソンギは、今年5月に公開された映画「息子の名前で」にも出演している。

 「26年」(チョ・グニョン監督)は、カンプルの同名ウェブコミックを原作とした映画。それまでの光州事件の悲劇を描いた映画とは一線を画し、犠牲者の遺族たちが虐殺の責任者をこらしめる物語を描いた。チン・グ、ハン・ヘジンが主演し、296万人の観客動員数を記録した。

 この日、「五一八民主有功者遺族会」「民主化運動負傷者会」「拘束負傷者会」などの団体と「五一八記念財団」が緊急記者会見を開き、「チョン氏の死が真実を覆い隠すことはない」とのコメントを発表。チョン元大統領が自身の回顧録と関連して犠牲者への名誉棄損容疑で裁判を受けていたことについて「生前、責任を問うことができず残念だ」と無念をにじませた。


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