【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政権への移行を準備する政権引き継ぎ委員会は12日、文在寅(ムン・ジェイン)現政権のカーボンニュートラル(炭素中立)政策をそのまま推し進めれば電気料金が大幅に上がり、国内総生産(GDP)も押し下げかねないとしながら、炭素中立政策の大々的な修正は避けられないとの見解を示した。文政権は2030年までに温室効果ガス排出量を18年比で40%削減し、50年には実質排出量
ゼロの炭素中立を実現すると表明している。 政権引き継ぎ委はこの日、気候変動対策・エネルギー担当チームが関係官庁からの業務報告を分析した結果を基に「文政権が国際社会に表明し力点を置いて推進してきた炭素中立政策は実現の可能性が劣る半面、国民生活への圧迫を強める要因になると分かった」と指摘した。 青瓦台(大統領府)によると、文大統領は前日の首席秘書官・補佐官会議で「炭素中立は気候危機を克服するために避けられない道で、進んでいくしかない」と強調し、「次の政権でエネルギーミックス(電源構成)政策の変更はあり得るだろうが、炭素中立政策の根幹は変わりなく維持されるべきだ」と述べた。だが、政権引き継ぎ委は政策修正を予告したことになる。現政権との緊張が高まるか注目される。 政権引き継ぎ委は関係当局の見通しとして、再生可能エネルギーの割合を50年には70%に引き上げるという現政権の炭素中立シナリオをそのまま推進するなら、50年まで電気料金の年4~6%引き上げが避けられないと伝えた。月平均350キロワット時の電気を使う4人世帯の場合、現在は約4万7000ウォン(約4800円)の電気料金が30年に6万4000~7万5000ウォン、35年に7万8000~10万ウォンに上がるという試算を示した。50年には物価上昇分を除いても現在の5倍以上に膨らむ可能性もあるとした。 また、炭素中立政策が韓国経済全体に及ぼす影響にも言及した。韓国開発研究院(KDI)は21年に作成した非公開の報告書で、現政権の炭素中立目標を達成した場合、30年までにGDPは年平均0.7ポイントずつ、50年までなら年平均0.5ポイントずつ、押し下げられるとの見通しを示したという。 政権引き継ぎ委は、現政権の「脱原子力発電」政策に伴い原発の発電電力量が減少し、これを補うため石炭火力発電が小幅増加、液化天然ガス(LNG)火力発電が急増した結果、21年の温室効果ガス排出量(暫定)はむしろ前年比4.2%増加したと指摘。排出量削減の約束に逆行するものだと批判した。脱原発政策はコスト増を招き、韓国電力の経営を悪化させる原因になっているとも述べた。 政権引き継ぎ委は「政権が交代しても、世界的な目標である炭素中立に韓国も積極的に賛同する基本姿勢に変化はあり得ない」とする一方で、「マイナスの経済波及効果、国民生活の圧迫を相殺するには、政策の組み合わせ(ポリシーミックス)の大々的な修正が不可避というのが暫定的な結論」と説明した。気候変動対策・エネルギー担当チームは実現可能な炭素中立に向けた政策の方向性を報告書にまとめ、尹氏に直接報告する計画だ。
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