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尹氏が15日の演説で明らかにした「大胆な構想」は、5月の就任式の演説で示した「大胆な計画」を具体化したもの。就任式の演説で尹氏は、「北朝鮮の核兵器プログラムは、わが国のみならず北東アジアの安全保障にとって脅威だが、これを平和的に解決できるよう対話の扉は開いている」とし、「北朝鮮が実質的な非核化プロセスに着手すれば、国際社会と協力し、北朝鮮の経済強化や生活向上につながる大胆な計画を提供する用意がある」と述べ、途絶えている非核化交渉の再開に意欲を見せた。
そして15日の光復節の演説で尹氏は、北朝鮮が核開発を中断し、実質的な非核化に転換すれば、食料や発電・送電インフラ、港湾・空港の整備などを進めると、「構想」の内容を具体的に示した。
また、大統領室のキム・テヒョ(金泰孝)国家安保室第1次長は同日、「大胆な構想」について「政治と軍事部門の協力ロードマップも準備してある」とし、経済面の支援のみならず、政治、軍事分野も「構想」の対象に含まれていることを強調した。金氏は尹氏の演説について「北が必要とすると思われる経済発展策にまず焦点を当て、重要なポイントを提案したもの」と説明。「構想」については「北が本気で非核化交渉に臨む場合、初期の交渉過程から経済支援の措置を積極的に講じるという点で思い切った提案だ」とした。
翌16日、韓国の統一部の当局者は「大胆な構想」について「朝鮮半島の平和と南北の共同繁栄に向けたわが政府の提案に対し、北が応じることを期待している」と述べた。
また、尹氏は17日に行われた就任100日目に合わせた記者会見でも「大胆な構想」に言及し、「少しでも非核化の意志を見せてくれればそれに応じて私たちができる限りのことを全部やるということ。課題を我々が先に出すことで向こうの回答が得られると思っているし、これからも朝鮮半島に平和が定着するには意味のある会談や対話が必要だと考えている」と述べた。
しかし尹政権の期待は早くも裏切られる形となった。北朝鮮は17日、中西部・ピョンアンナムド(平安南道)付近からファンヘ(黄海)に向け、巡航ミサイル2発を発射した。北朝鮮がミサイルを発射するのは弾道ミサイルを発射した6月5日以来、約2か月ぶり。また、弾道ミサイルの発射はことしに入り1月に続き2回目。韓国と米国は22日から合同軍事演習を行う予定で、16日からはその事前演習が始まっていた。発射は演習への反発との見方が出ている。
聯合ニュースは今回の発射について「『大胆な構想』を通じ、北朝鮮との非核化交渉の突破口を見出そうとする尹政権に冷や水を浴びせたといえる」と伝えた。
一方、クォン・ヨンセ(権寧世)統一部長官は「北の態度や対外情勢に一喜一憂せず、『大胆な構想』を基に毅然(きぜん)としてわれわれの道を歩んでいく」と冷静な反応を見せた。
しかし、金総書記の妹の与正氏は19日に談話を発表し、構想について「実現とはかけ離れた愚かさの極致」と批判。「『北が非核化措置を取れば』という仮定そのものが間違った前提」と指摘し、拒否する考えを明らかにした。
北朝鮮を非核化交渉のテーブルに引き込むことの難しさが、今回、改めて示された形だ。
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