<W解説>韓国批判を強める北朝鮮、米韓合同軍事演習を機にさらなる挑発も?(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国批判を強める北朝鮮、米韓合同軍事演習を機にさらなる挑発も?(画像提供:wowkorea)
北朝鮮メディアが最近、韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)政権への批判を一段と強めている。22日からは北朝鮮が毎回、激しく反発する米韓合同軍事演習も始まり、今後、さらに批判のボルテージを上げることも予想される。

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北朝鮮の対外メディア「わが民族同士」は20日、尹大統領の支持率が20%台に落ち込んだことを取り上げ「民心の正確な評価」と指摘した。さらに同メディアは「(韓国の前政権時の)北南首脳会談を『平和演劇』と冒涜(ぼうとく)し、北南宣言と合意を全て破棄すべきとの妄言をはばかることなく吐き出しており、北南間の接触と対話プロセスまでも同族対決と政治報復のための媒介として悪用している」と主張した。

また、同じく対外宣伝メディアの「こだま」は「尹大統領が『新北風』道化劇を繰り広げている」とし、「傀儡(かいらい)保守勢力が執権危機に置かれる度にわが共和国に言いがかりをつけてくるいわゆる『北風』道化劇を繰り広げていることは世界がみんな知っている」などと主張した。

韓国の北朝鮮政策をめぐっては、尹大統領が今月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の演説で、核開発をやめれば食料を送ったり、韓国の支援で発電所や病院などを造ったりできるとする「大胆な構想」を提案した。尹氏は17日に行われた大統領就任100日目に合わせた記者会見でも「大胆な構想」に言及。「少しでも非核化の意志を見せてくれればそれに応じて私たちができる限りのことを全部やるということ。課題をわれわれが先に出すことで向こうの回答が得られると思っているし、これからも朝鮮半島に平和が定着するには意味のある会談や対話が必要だと考えている」と述べた。

しかし、この構想に対して、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の妹、ヨジョン(与正)氏が痛烈に批判。与正氏は談話で同構想について、北朝鮮が非核化と開放を進めれば10年以内に1人当たり国民所得3000ドル(約41万円)に達するよう支援するとしたイ・ミョンバク(李明博)元大統領の政策「非核・開放3000」のコピーにすぎないと指摘。「愚かさの極致」とこき下ろした上で「絶対相手にしない」と拒否する考えを明らかにした。

また、与正氏は、尹氏について「われわれは尹錫悦という人間そのものが嫌いだ」とし、「互いに意識せず生きることが切なる願い」と拒否感をあらわにした。さらに「本当に大統領に当選させる人物が尹しかいなかったのか」とした上で、尹政権が低支持率にあえいでいることを念頭に「ただでさえ経済と民生がめちゃくちゃで、いつ追い出されるかわからない不安の中にいながら、誰の経済と民生の改善を云々する余裕があるのか。北南問題を持ち出して口にしないで、時間があれば内部のことでも気遣い、心配するほうがよかろう」と皮肉った。

これに対し、韓国統一部(部は省に相当)のクォン・ヨンセ(権寧世)長官は「金副部長(与正氏)は無礼かつ品格のない表現で『大胆な構想』を歪曲(わいきょく)して批判した。北朝鮮のみならず、朝鮮半島の平和に向けても良くないこと」としながらも、「北朝鮮の態度は予測できたこと」とし「忍耐を持って説得していきたい」と述べた。

北朝鮮が対韓批判を強める中、22日から米韓合同軍事演習が始まった。韓国国防部は21日、政府と軍が韓米連合防衛体制の下、危機管理と合同作戦支援の手続きを熟達し、北朝鮮の局地的挑発と全面戦に備える国家総力戦の遂行能力向上を図ると説明した。北朝鮮との融和を推し進めようとした前政権では合同演習は規模を縮小して行ってきたが、今回は正常化して行われる。与正氏はこの演習についても強く反発しており、「今日は『大胆な構想』云々し、明日は北侵戦争演習を強行する破廉恥な者が尹錫悦」とこき下ろした。

韓国紙の東亜日報は今回の合同演習の実施に関連し、「北朝鮮がこれを大義名分に挑発に乗り出す可能性もある」と指摘した。

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