【ソウル聯合ニュース】2002年6月に北朝鮮に近い韓国の延坪島周辺海域で起きた韓国と北朝鮮による銃撃戦、第2延坪海戦で戦死した兵士の遺族と参戦した兵士ら8人が北朝鮮を相手取って起こした損害賠償訴訟で、ソウル中央地裁が原告勝訴の判決を言い渡したことが24日、法曹関係者の話で分かった。ただ原告側が賠償金を受け取るのは難しい見通しだ。 法曹関係者によると、同地裁は23日、北朝鮮と金正恩(
キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)に対し原告1人当たり2000万ウォン(約204万円)と海戦が発生した日から年5%で計算した遅延損害金の支払いを命じた。 裁判所は大法院(最高裁)の判例にのっとり、憲法や国内法上の反国家団体である北朝鮮は民事訴訟法で定める「非法人社団(権利能力なき社団)」だとして、韓国の裁判所に裁判権があるとの判断を示した。 北朝鮮と正恩氏は訴訟に応じていないが、裁判所は公示送達(裁判所での掲示や官報公告などにより内容が伝達されたと見なす手続き)によって訴訟が起こされたことを通知し、判決を言い渡した。 第2延坪海戦は、サッカーのワールドカップ(W杯)韓日大会の熱気に包まれていた02年6月29日、黄海上の南北軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)を侵犯した北朝鮮の警備艇が韓国海軍の高速艇「チャムスリ357号」に先制攻撃を加えたことで発生。韓国海軍は6人が死亡、19人が負傷した。北朝鮮軍は約30人の死傷者を出したとされる。 海戦で死亡した兵士の夫人らは20年10月、「北の不法行為により肉体的・精神的損害を被った」として訴訟を起こした。 ただ、原告が実際に賠償金を受け取るのは難しいとみられる。 これに先立ち、朝鮮戦争で北朝鮮軍の捕虜にされた元韓国軍兵士2人が北朝鮮と正恩氏を相手取って訴訟を起こし、20年7月に一審で勝訴したが、賠償金を受け取ることはできなかった。 裁判所は南北経済文化協力財団に賠償金を支払わせるため取り立て命令を出したが、その後、同財団の抗告が認められたため取り立ては実現しなかった。
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