(画像提供:wowkorea)
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1.電車の中で

 地下鉄の優先席に座った老人と若い女性。

 韓国の地下鉄の優先席は1車両に6席(3X2)です。私が目撃した時は、向いの席の左に老人、真ん中の席を空けて若い女性が座っていました。老人が彼女に向かって詰問調で「どこか悪いのか?」さらに「妊娠してるのか?」と問いかけましたが、聞こえなかったのか若い女性は無反応。

 なおも老人は彼女の膝を軽くゆすりました。途端、彼女は「なぜ女性の体に触れるのか」と声を荒げ怒りをあらわにし、「女性に妊娠うんぬんは言語道断だ」と更に詰め寄りました。老人は一瞬たじろぎ「聞こえなかったと思ってゆすった」と弁明し、申し訳なさそうに「若い女性が優先席に座ったので注意を促すためだ」と。

 韓国では目上の人が心得違いをした若者に注意をするのはよくあることですが、最近の若者は必ずしも既存の道徳観念や年寄りの上から目線での物言いに従順ではなくなっています。普通このような場面では年寄りが社会のルールを盾に若者をいさめ、若者は申し訳なさそうにこそこそと席を立つのが一般的でしたが、この場面ではまるで違う展開になりました。

 若い女性はなぜ女性の体に触ったのかを執拗(しつよう)に責め立て、老人を破廉恥犯に追い込み、女性に妊娠しているかと聞くのも失礼であり、コンデションが悪くて座ることもあるとその正当性を主張し謝罪させ、あなたのお陰で今日一日気分を害することになったと言い、勝ち誇ったように降りていきました。くしくも老人も肩を落とし同じ駅で下車していました。

2.バスの中で

 休日の朝。気温は28~29度前後。バスに乗っていた中年の女性がクーラーをつけるように運転手さんに声をかけましたが反応しません。もう1人の初老の婦人も加勢して冷房を入れるように促しました。

 渋々クーラーをつけると乗り合わせた老人が開いた窓を閉めて歩き、運転手に感謝される場面も。けれども2番目に冷房をつけるように言った初老の女性だけは自席の窓を半分閉めただけでした。それを見逃すまいと最初にクーラーをつけるよう主張した中年の女性がその女性に窓を閉めるようにと。

 しかし、初老の婦人は窓を閉めるどころか、閉めるように促した中年の女性に振り返り「クーラーのつけ始めは、その間にクーラーにたまった悪い空気が出るので少し開けとく方が体に良い」と諭し閉めなかったのでした。もちろんバスの中には気まずい雰囲気が…。初老の婦人は自分が降りる時、窓をきちっと閉めてバスを後にしました。

 このような光景ややり取りが日本の交通機関内であり得るでしょうか?

 若者が優先席に座っても見てみないふり。言われたらにらみ返すかさっと立ち去るか。言葉のやり取りはないのでは…

 優先席にに座った自分の非を、論理整然と相手の不道徳性に問題をすりかえて堂々と勝ち誇って降りる姿を日本では…

 普通少し窓を開けて涼しい風に当たれば何も冷房をつけなくとも…しかし客として要求する押し出し!

 冷房をつけることでつながった2人ですが、窓を閉めることでは決然と袂を分かつ自己主張。周りの空気を読んで多少のことなら、自分が我慢することで丸く収まるなら、という日本との感覚の違い…

<蛇足>

 私の経験では一般的に日本より韓国の女性の方が自我が強くて情が深く、自己犠牲的ですしその分嫉妬も強い気がします。朝鮮王朝時代でも権力争いにたくましく女性が絡んでいる事実をドラマ等でもよく見かけますが、同じ時代の日本の女性は自分の意思とは関係なく政略的に離縁させられ人質として泣く泣く嫁にされていました(秀吉の妹、浅井三姉妹等)。

 言葉でも日本にあって韓国に無いものが「亭主関白」。韓国で男性が結婚する事を“ジャンガ/カンダ”と言います。その意味は“嫁の家に行く”で、昔は結婚の主導権を男性の家だけでなく嫁の家でも持っていたという名残だそうです。

 韓国の女性の強さは別の項でじっくり検証していきます。

 乞うご期待を!

※権鎔大(ゴン・ヨンデ)韓日気質比較研究会代表の寄稿。ソウル大学史学科卒業、同新聞大学院修了。大韓航空訓練センター勤務。アシアナ航空の日本責任者・中国責任者として勤務。「あなたは本当に『韓国』を知っている?」の著者。

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