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金正恩氏は演説で「米国が狙う目的はわれわれの核そのものを除去してしまうこともあるが、究極的には核をなげうたせ、自衛権行使力まで放棄あるいは劣勢に追い込むことでわが政権をいつでも崩壊させようとするもの」と主張。米国が北朝鮮制裁を通じて核放棄を迫っていることを「誤算」とし、「100日、1000日、10年、100年でも制裁を加えてみろ」とあおった。
さらに「国の生存権、国家と人民の未来の安全がかかった自衛権を放棄するわれわれではなく、どれほど難しい環境に置かれようとも、米国による朝鮮半島の政治軍事的な形勢下で、ましてや核敵手国の米国をけん制する必要があるわれわれとしては、絶対に核を放棄することができない」と強調した。米国の企てが実現することはないとしながら、北朝鮮に対する米国の敵視政策が長引くほど北朝鮮の軍事力強化は加速し、米国が直面することになる安全保障の脅威が増大していると主張した。
北朝鮮は8日、核武力政策に関する最高人民会議の法令を通じて核武力の使命や構成、指揮統制などを定めた。金正恩氏は「わが核を巡りこれ以上駆け引きできないよう不退(後戻りできない)線を引いたところに、核武力政策の法制化が持つ重大な意義がある」と力説した。「われわれの核政策を変えたいなら世の中が変わらなければならず、朝鮮半島の政治軍事的な環境が変わらなければならない」とし、「先に核放棄、非核化というものは絶対になく、いかなる交渉も、その過程で引き換えにするものもない」と繰り返した。
非核化交渉に臨む考えはなく、北朝鮮の非核化措置に合わせて経済支援などを行うという韓国政権の「大胆な構想」にも関心がないとの態度をあらわにした発言とみられる。
金正恩氏は「共和国(北朝鮮)核武力は、わが国に対する米国とその追従勢力の厳重な政治軍事的挑発を抑制し、今後予想される脅威を管理する上で重大な使命を責任をもって遂行する」と言明した。北朝鮮に対する韓米の軍事的圧力に触れながら「共和国の国防省と国防工業はこの局面を、軍事力強化のまたとない良い機会にする」とも述べた。
特に「最も重要なこととして、核武力の戦闘的信頼性と作戦運用の効果を高められるよう戦術核運用空間を拡張し続け、適用手段の多様化を一層高い段階で実現し、核戦闘態勢を百方に強化していかなければならない」と呼び掛けた。
朝鮮半島有事の際に動員される米軍増員勢力や韓国の重要施設などに打撃を与えられるよう戦術核兵器の使用範囲を拡大し、多様な戦術核兵器を開発する方針を示したと受け止められる。
金正恩氏の演説は2万字近くに及んだ。核武力の正統性を強調し、経済や保健など北朝鮮内部の状況にも細かく言及した。
韓国に対する言及はほぼなかった。韓国政府を「南朝鮮の現政権」と呼び、「韓米連合防衛体制の強化だとか、いわゆる韓国型3軸打撃体系を構築して抑止力と対応力を高めるだとか騒ぎ立てながら、地域の軍事的緊張を招く危険な軍事行動と軍備近代化の戯れを本格化している」と批判するにとどまった。
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