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最高人民会議の開催は2月に続いて2回目。7、8日の2日間開催されたが、初日に金総書記は出席せず、チェ・リョンヘ(崔竜海)最高人民会議常任委員長が会議を進行した。金氏は2019年4月の第14期第1回会議で国務委員長として施政演説を行い、第2回(同年8月)、第3回(20年4月)、第4回(21年1月)の会議はいずれも欠席した。昨年9月の第5回会議では施政演説を行ったが、今年2月に第6回会議には出席しなかった。
今回は昨年9月の会議と同様、2日目に出席し、施政演説を行った。金氏は演説で「米国が狙う目的はわれわれの核そのものを除去してしまうこともあるが、究極的には核をなげうたせ、自衛権行使まで放棄、あるいは劣勢に追い込むことでわが政権をいつでも崩壊させようとするもの」と主張。米国が北朝鮮制裁を通じて核放棄を迫っていることについて「敵の誤判断だ」と指摘。「100日、1000日、10年、100年でも制裁を加えてみよ」と挑発した。その上で「国の生存権、国家と人民の未来の安全がかかった自衛権を放棄することはなく、どれほど難しい環境に置かれようとも、米国による朝鮮半島の政治軍事的な形勢化で、ましてや核敵手国の米国をけん制する必要があるわれわれとしては、絶対に核を放棄することはできない」と強調した。
9日付の朝鮮労働党の機関紙によると、会議では核使用に関する法令が採択されたという。法令では「国務委員長が核に関する全決定権を有する」とし、金氏の絶対的な権限を改めて明示。また、核指揮系統が脅威にさらされれば、敵を壊滅させるために核攻撃が自動的に断行されるとした。一方、核を保有しない国に対しては、保有国を通じて攻撃行為に加担しない限りは核兵器を使用しないと規定。さらに「責任ある核兵器保有国」として、他国との核兵器共有や関連技術の移転を行わないとの条項を設けた。金氏は核政策の法制化について「(外交交渉で)これ以上取引できないように、不退転の線を引いた」と強調。非核化交渉に応じない姿勢を明確にした。
北朝鮮としては、核の保有を正当化するとともに、米国や韓国を強くけん制する狙いがあるとみられる。
一方、演説では韓国に対する言及はほぼなかった。韓国政府を「南朝鮮の現政権」と呼び、「韓米連合防衛体制の強化だの、いわゆる韓国型3軸打撃体系を構築して抑止力と対応力を高めるだの騒ぎ立てながら、地域の軍事的緊張を招く危険な軍事行動と軍備近代化の戯れを本格化している」と批判するにとどめた。
また、韓国与党「国民の力」のテ・ヨンホ(太永浩)議員は9日、金氏が演説で「核武力の戦略的信頼性と作戦運用の効果性」などに言及したことに着目し「事実上、核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)発射の可能性もあり得るという宣伝的な意味が大きい」と指摘した。米韓は北朝鮮が近く、2017年以来7回目の核実験に踏み切るのではとの見方を示している。
太議員は北朝鮮の元駐英大使で、在任中の2016年7月に英国を出国し、8月に脱北者として韓国に亡命した。脱北した外交官の中では歴代最高位級。
亡命後、太氏は金正恩政権の実像を伝えるために積極的に情報発信している。金総書記の祖父、キム・イルソン(金日成)主席が核開発をするに至る舞台裏や北朝鮮特有の外交戦略、金正恩体制に至るまでを克明に記したノンフィクション「太永浩の証言 3階書記室の暗号」(2018年刊)は韓国でベストセラーになった。
一昨年4月の総選挙で「国民の力」の前身、未来統合党から立候補して当選。当時、「政府が北朝鮮の現実を直視し、持続可能な対北朝鮮政策を展開できるように全ての力を尽くす」と語っている。
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