ソウル駅の待合室のテレビに北朝鮮のミサイル発射ニュースが流れている=25日、ソウル(聯合ニュース)
ソウル駅の待合室のテレビに北朝鮮のミサイル発射ニュースが流れている=25日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の主要メディアは26日午前9時現在、前日の弾道ミサイル発射に関するニュースを伝えていない。近ごろはミサイルを発射しても報じておらず、韓国の専門家からは、北朝鮮が国防力強化を目標に立てた計画に沿ってミサイルを発射しているとアピールする狙いがあるとの見方も出ている。

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 北朝鮮は25日朝、西部の平安北道・泰川付近から朝鮮半島東の東海上へ弾道ミサイル1発を発射した。高度は約60キロで、約600キロ飛行した。ロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版と呼ばれる「KN23」と推定される。

 韓国南部の釜山には米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」を中核とする空母打撃群が入港しており、26日から4日間、朝鮮半島東の東海で韓国海軍と合同海上演習を実施する。これに反発した北朝鮮が武力誇示としてミサイルを発射したと分析されている。泰川から釜山までの距離は600キロ程度だ。

 北朝鮮は今年初めまでは、ミサイルを発射すると翌日に主要メディアを通じて関連記事や写真などを出してきた。2月27日と3月5日に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」を発射した際は性能などを明かさず、「偵察衛星の開発計画に基づく重要な実験」と伝えた。3月25日にICBM発射に成功すると、翌日に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が登場するミュージックビデオのような華やかな映像を流した。

 だが5月以降は、発射の成否にかかわらず沈黙を守っている。先月17日も巡航ミサイル2発を発射したが、メディアの報道はなかった。ただ、金正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長が2日後、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が提案した北朝鮮の非核化措置に合わせて経済支援などを行う「大胆な構想」を拒否する談話を発表する中で、韓国当局が発表したミサイル発射地点は間違っていたとして、ミサイル発射に言及している。

 韓国の朴元坤(パク・ウォンゴン)梨花女子大教授(北朝鮮学)は「北の沈黙には、他の国々もしている国防力強化を、(北朝鮮も)通常の手順と計画に従って進めるというメッセージが込められている」との見解を示した。また「正確な性能などを明かさないことで、韓米の情報判断を困難にしようとする面もある」と指摘した。

 張泳根(チャン・ヨングン)韓国航空大教授(航空宇宙学)は「北が前日発射した弾道ミサイルに言及しないのは通常、新しいミサイルの開発実験ではないか、ミサイルの多様な運用シナリオと運用能力を検証しないケースと見なせる」と分析した。


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