【ソウル聯合ニュース】韓国サムスン電子は27日、取締役会で李在鎔(
イ・ジェヨン)副会長(54)の会長昇格を決定したと発表した。会長のポストは父親の李健熙(イ・ゴンヒ)氏が2020年10月に死去して以来、2年間空席となっていた。李在鎔氏はすでにサムスングループの経営トップとしてグループを率いてきたが、会長昇格で名実ともに「李在鎔のサムスン」時代が幕を開ける。 同氏は会長昇格について、重い責任を感じていると述べながら「国民からより信頼され愛される企業をつくりたい」と誓った。 同社の取締役会は、世界的に対外環境が悪化する中で▼責任経営の強化▼経営安定性の向上▼迅速で果敢な意思決定――が必要と判断し、李在鎔氏の会長昇格を決定したと説明した。 サムスン電子がこの日発表した2022年7~9月期の連結決算によると、本業のもうけを示す営業利益は10兆8520億ウォン(約1兆1200億円)で前年同期比31.4%減少した。財界では、世界的な景気減速が懸念される中で競争力を維持し、先んじて危機に対応するためには李在鎔氏の会長就任と強力なリーダーシップが必要だという意見が相次いだ。 李在鎔氏は12年に副会長に就任。18年に公正取引委員会からサムスングループの実質的な支配者である「総帥」(公正取引法上の「同一人」)に指定されていた。20年の李健熙氏の死去から2年、1991年のサムスン電子入社から31年での会長昇格となった。 サムスン電子入社後、慶応大大学院を経て米ハーバード大で博士課程を修了した李在鎔氏は、03年に常務に昇進。翌年には同社とソニーの合弁会社の取締役として経営に本格的に参画し、09年には副社長兼最高執行責任者(COO)に就任した。 14年に李健熙氏が急性心筋梗塞で倒れた後は、グループトップとして経営権継承のための手続きを踏み始めた。 だが、朴槿恵(パク・クネ)元大統領らへの贈賄罪などに問われて17年2月に懲役5年の実刑判決を言い渡され、サムスングループ総帥として初めて服役することになった。 18年の控訴審で執行猶予付きの判決を受けて釈放された後、李健熙氏の「新経営精神」を受け継いだ「ニューサムスン」ビジョンを発表して新体制を築こうとしたが、昨年1月の差し戻し審で懲役2年6カ月を言い渡され、再び収監された。 昨年8月に仮釈放された李在鎔氏は刑期の終了後も5年間の就業制限の規定が適用され、経営活動が制約を受けたが、今年8月の特別赦免(恩赦)で復権し、全ての制限が解除された。 復権後はソウル近郊の京畿道・竜仁で開かれたサムスン電子の次世代半導体研究開発(R&D)団地起工式をはじめ、主要グループ会社の事業場を訪れるなど活発な動きを見せており、近いうちに李健熙氏が93年に発表した「妻と子ども以外は全て変えよう」という新経営宣言に続くメッセージを発すると予想される。 会長として経営の第一線に立つことから、人工知能(AI)や次世代通信など未来の新事業分野で積極的な合併・買収(M&A)に乗り出すとの見方も出ている。 グループのコントロールタワーだった未来戦略室の解体後に新設された事業部門別のタスクフォース(TF)が、正式な組織として復元されるかにも関心が集まっている。 一方、グループの経営権継承を目的にグループ傘下企業の不当な合併を指示・承認した罪にも問われている李在鎔氏は27日、ソウル中央地裁で開かれた公判に予定通り出席した。
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