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インターネットメディア「ミンドゥルレ」は14日、先月31日時点の事故の犠牲者155人のリストを公表。同メディアは、韓国紙の中央日報の取材に対し「名前を呼ぶのが哀悼の出発点だ。一メディアとしても主になって犠牲者の名前を呼ぶという趣旨。遺族の悲しみを社会が共に背負う役割を果たそうとするもの」と説明している。
また、進歩系インターネットメディア「市民メディアたんぽぽ」の同日、「梨泰院の犠牲者、あなた方の名前を今こそ呼ぶ」とし、155人の名簿を公開した。同メディアは「顔写真はもちろん、年齢など他の個人情報に関する情報は出さず、名前だけを記載しているので、犠牲者は具体的に特定されない。位牌も遺影もなく、菊の花束だけという奇異な合同焼香所が多くの市民たちを激怒させている状況で、犠牲者が実際に存在したことを感じられるよう、少なくとも名前だけでも公開することが真の哀悼と責任救命に寄与する道だと判断する」と公開理由を説明した。また、「犠牲者を匿名の陰に埋もれさせ続けることで波紋を縮小しようとすることこそ、むしろ災害の政治化だ」と主張している。
一方、遺族からは無断で氏名を公表されたことに怒りの声が上がっている。17歳の息子を亡くした父親(62)はハンギョレ新聞の取材に「遺族は政府に真の謝罪と真相究明を要求しているが、この時点で名簿を公開することは遺族にもう一つの傷を与えることになる」と話した。
政界からも批判が出ており、与党「国民の力」のパク・チョンハ首席報道官は、名簿公表について「明らかな2次加害」とし、「法的検討や対応策も考え得る」と話した。野党「正義党」のイ・ウンジュ院内代表は15日、「いかなる場合にも遺族の立場を尊重することが基本だ」とした。一方、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表は「遺族が反対しない限り」と前置きした上で「名前と遺影を公開して哀悼する必要がある」と述べた。
法務部(部は省に相当)のハ・ドンフン長官は14日、「遺族と被害者の意思に反する無断の氏名公開は、法的に大きな問題があると考える」と述べた。また、「民主社会のための弁護士会」の「10・29惨事(梨泰院雑踏事故)真相究明及び法律対応タスクフォース」は同日、声明を発表。「憲法と国際人権基準が定めたプライバシーに対する権利保護の原則により、犠牲者リストが遺族の同意なしに公開されないようにする保護措置が取られなければならない」と話した。
今回の事故では、犠牲者に外国人も多数含まれている。韓国外交部(外務省に相当)は15日、犠牲者の出身国の在韓大使館1か所から抗議があったことを明らかにした上で、氏名を公開した当該メディアに対し是正を求めたと発表した。外交部によると、外国人の死者26人のうち、1人を除く大半の遺族が指名の公開を望んでおらず、8人は国籍も非公開とするよう希望しているという。
日本でも、大規模な事故において犠牲者の氏名公表をめぐって当局とメディア側でしばしば議論となる。今年4月に北海道・知床半島沖で起きた観光船沈没事故をめぐっては、第1管区海上保安本部は5月までに身元が確認された犠牲者14人の氏名を遺族の了承を得て発表した。しかし、9月に遺体が発見された乗客の男女2人については「家族の強い意向で現時点では氏名公表を差し控える」とした。これに対し報道機関17社でつくる海上保安庁記者クラブは同月、死亡が確認された乗客を匿名とせず、速やかに公表するよう求める申し入れ書を海保の長官宛に提出した。
一方、乗客家族の法的な支援に取り組む被害者弁護団は今月8日、実名公表について「家族の意向が最大限尊重されるべき」とする意見書をまとめ、第1管区海上保安本部に提出した。弁護団は「報道の自由や国民の知る権利よりも、被害者のプライバシーの方が優越する事案」と主張している。
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