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また、談話では「無用の長物のような制裁なんかに主人(米国)と手先(韓国)が愛着を感じるなら、これから百回も、千回も思う存分やってみろ」と追加的な対北独自制裁の検討を明らかにした尹政権を強く批判した。さらに、ムン・ジェイン(文在寅)前政権を引き合いに出し「それでも文在寅が(政権に)座っている時は、少なくともソウルがわれわれの標的ではなかった」とした上で、「米国とその手先である南朝鮮(韓国)が制裁や圧迫に必死に縛られるほど、われわれの敵意と怒りはさらに大きくなって、そのまま自分たちの首を絞めることになるだろう」と警告した。これに、聯合ニュースは「尹政権の発足後、韓国を直接攻撃の対象にしていることを示したものとみられる」と伝えた。
談話は尹氏を呼び捨てした上に「大バカ」と表現。これに韓国の統一部の当局者は不快感をあらわにし「われわれの国家元首を低俗な言葉で非難し、初歩的な礼儀も備えていないことを慨嘆する」と批判した。その上で「わが国民に対して反政府闘争を扇動し、体制を揺さぶろうとする不純な試みを強く糾弾し、こうした試みに国民はだれも同調せず、むしろ北への認識がさらに悪くなることを知るべきだ」とけん制した。
与正氏は、金総書記に代わる形で、これまで韓国などに向け、強い言葉で批判する談話を発表してきた。今年5月に就任した尹大統領は、北朝鮮に対し、核開発をやめれば食料を送ったり、韓国の支援で発電所や病院などを造ったりできるとする「大胆な構想」を提案。今年8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の演説で構想について改めて言及すると、与正氏は、「愚かさの極致」とこき下ろした上で「絶対相手にしない」と拒否する考えを明らかにした。さらにこの際、尹氏について「われわれは尹錫悦という人間そのものが嫌いだ」とし、「互いに意識せず生きることが切なる願い」と拒否感をあらわにした。与正氏は「本当に大統領に当選させる人物が尹しかいなかったのか」とした上で、尹政権が低支持率にあえいでいることを念頭に「ただでさえ経済と民生がめちゃくちゃで、いつ追い出されるかわからない不安の中にいながら、誰の経済と民生の改善を云々する余裕があるのか。北南問題を持ち出して口にしないで、時間があれば内部のことでも気遣い、心配するほうがよかろう」と皮肉った。
与正氏は2018年のピョンチャン(平昌)五輪で北朝鮮の派遣団を率いて国際的な注目を浴びるようになった。その後、ベトナムで開催された当時のトランプ米大統領と正恩氏の米朝首脳会談に正恩氏が向かう際、正恩氏の補佐役として奔走した。2020年ころから公の場における政治的な役割が増え、影響力を高めている。同年4月に正恩氏の健康不安説が流れた際は、与正氏が後継者候補として名前が挙がったこともあった。昨年1月に開催された朝鮮労働党の党大会で政治局候補委員から外れ、中央委員会委員となった。またこの際、党第1副部長から副部長に降格したことも確認された。しかし、韓国統一部は与正氏について、形式的な地位とは別の側面で実質的な役割と影響力は続いているとみている。
与正氏の韓国などに対する荒い物言いは、2019年2月の米朝首脳会談が物別れに終わった頃から多くなった。2020年6月に与正氏は談話で「遠からず北南共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を目にするだろう」と威嚇。直後に、事務所は実際に爆破され、世界を震撼させた。
与正氏は昨年半ば以降、一旦は談話で節度ある表現を用いることもあったが、今年5月に尹政権が発足すると、再び激しい表現で対韓批判を繰り広げるようになった。英BBCのソウル特派員はかつて与正氏について「兄(正恩氏)の代わりに周囲に吠えて回る番犬のような役割を果たしている」と解説している。
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