国連総会本会議の様子(国連ウェブTVから)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
国連総会本会議の様子(国連ウェブTVから)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ニューヨーク聯合ニュース】国連総会本会議は15日(米東部時間)、北朝鮮の組織的かつ広範な人権侵害を非難する決議案をコンセンサス方式(議場の総意)により投票なしで採択した。同種の決議採択は2005年から18年連続。今年は既存の決議の文言に加え、韓国の前政権期に黄海上で起きた北朝鮮軍による韓国人男性公務員の射殺事件と、韓国から北朝鮮住民が強制送還された事件にも間接的に言及した。

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 コンセンサス方式で採択されるのは12年と13年、16~21年に続いて今回が9回目。それだけ国際社会で北朝鮮の人権状況に対する否定的な見解が広がっているといえる。

 決議案の作成は欧州連合(EU)加盟国が主導し、韓国も4年ぶりに共同提案国に加わった。

 決議はおおむね既存の決議の文言を用い、▼拷問、恣意(しい)的な拘禁、性暴力▼政治犯の収容所▼強制失踪▼移動の自由の制限▼北朝鮮に送還された脱北者の処遇▼宗教・表現・集会の自由の制約――などを列挙し、北朝鮮の組織的かつ広範な人権侵害を「最も強い言葉で糾弾する」とした。

 外国人に対する拷問、即決処刑、恣意的な拘禁、拉致などを懸念した既存の内容には、新たに「遺族と関係機関に全ての関連情報を公開するよう北朝鮮に求める」との文言を加えた。韓国の前政権期の20年に黄海で韓国人男性公務員が北朝鮮軍に射殺された事件を巡り、韓国政府と遺族の要求の多くを反映したものとみられる。

 また「北朝鮮に送還される北朝鮮住民が強制失踪、恣意的な処刑、拷問、不当な待遇の対象になってはならない」と指摘した。韓国前政権期だった19年、脱北した北朝鮮住民が韓国から北朝鮮に強制送還された事件を間接的に指したようだ。

 北朝鮮での女性差別とドメスティックバイオレンス(DV)の深刻化を指摘したほか、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、人道的な国際機関の北朝鮮へのアクセスを認めるよう促す内容も盛り込んだ。

 決議は国連安全保障理事会に対し、北朝鮮の人権侵害を国際刑事裁判所(ICC)に付託し、「最も責任あるとみられる者」への追加制裁を考慮するよう勧告した。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)を指したとみられる。こうした文言は9年連続。

 また、新型コロナの影響で北朝鮮の人権状況が悪化していると指摘しながら「住民の福祉でなく、核兵器と弾道ミサイル開発に資源を流用した」と非難した。

 北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使はこの決議を「政略的な挑発行為」とし、決議に記された人権侵害行為は北朝鮮に存在しないと主張した。


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