北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)=(聯合ニュース)
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国政府系シンクタンクの統一研究院は23日、最近韓国入りした脱北者72人からの聞き取り結果を基にまとめた「北朝鮮人権白書2022」を発刊した。2019年にも迷信行為(占いなど)を理由に公開処刑があったとする脱北者の証言を明らかにしたほか、北朝鮮住民の携帯電話の使用に関し、韓国と関係のある録画物や通話記録に対する取り締まりと処罰が強化されていることも伝えた。

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 白書によると、19年に北朝鮮から脱出した脱北者は、18~19年に迷信行為が厳しく統制され、その過程で公開処刑があったという話を聞いたと証言した。

 また、ある脱北者は18年1月に北朝鮮北東部・清津の川で行われた公開処刑について証言した。郡党責任書記の運転手の妻が30代半ばの女と薬物の商売をしていて仲たがいし、30代半ばの女が運転手の妻を殺害したことが金正恩(キム・ジョンウン)氏の耳に入り、群集の前で銃殺するよう指示が出されたという。

 白書はただ「公開処刑が減っているという証言も一部にある」とし、こうした証言が実際に公開処刑が減ったためなのか、あるいは非公開の死刑執行や即決処刑が増えたためなのかは不明確だと伝えた。

 白書は、北朝鮮の非常防疫法が防疫秩序に違反した場合の最高刑を死刑と定めていることは生命権に反すると指摘した。また、北朝鮮では刑事事件を処理する過程で拷問や非人道的な処遇が続いており、当局が拘禁施設の収容者に過度な労働を課しているとする調査結果を伝えた。

 北朝鮮では人民班や生活総和(集会)などによる住民の監視と私生活の侵害が継続しており、特に脱北者や韓国に家族のいる住民らに対する監視や盗聴が目立つことも調査で明らかになった。

 外部の文化の流入や非社会主義現象の取り締まりも強化されている。白書は、北朝鮮住民の携帯電話の使用で韓国に関する録画物、通話記録、文字メッセージなどに対する取り締まりと処罰が強まっているとし、主に若い世代が摘発されていると伝えた。摘発されれば労働教化刑(懲役刑に相当)に処される場合があるが、わいろでもみ消せるという証言も多数あった。

 白書は、北朝鮮では非効率的な食糧増産政策と毎年繰り返される自然災害により、慢性的な食糧不足に陥っていると指摘した。また、住民が薬物を治療のための鎮痛剤や覚せい剤として使っており、北朝鮮内で薬物の誤用・乱用が深刻だと懸念を示した。このほか、北朝鮮ではセクハラが横行しており、人身売買に対する厳しい処罰規定があるにもかかわらず摘発時にわいろでもみ消すケースがあることも伝えた。

 統一研究院は1996年から毎年、韓国語版と英語版の北朝鮮人権白書を発刊している。


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