北朝鮮メディアは1日、金正恩氏が中距離弾道ミサイル「火星12」の弾頭部を視察する様子を公開した(朝鮮中央テレビの映像から)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
北朝鮮メディアは1日、金正恩氏が中距離弾道ミサイル「火星12」の弾頭部を視察する様子を公開した(朝鮮中央テレビの映像から)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は昨年末に開かれた党中央委員会総会で核弾頭の保有量を大幅に増やすと表明し、これを基本方向に「2023年度核武力および国防発展の変革的戦略」を示した。この戦略に従い北朝鮮が今年、戦術核・戦略核弾頭をどれほど生産するか関心が集まっている。海外の専門機関によると、北朝鮮はすでに15~60発の核弾頭を保有していると推定される。◇北朝鮮が保有する核弾頭 最大60発との見方も 米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」(BAS)は昨年9月、北朝鮮が20~30発の核弾頭を保有中と推測する報告書を公表した。2人の専門家は北朝鮮が「主に準中距離弾道ミサイル(MRBM)に搭載しようとして組み立てた核弾頭」を保有しているとの見方を示した。  スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は昨年6月、北朝鮮が20発の核弾頭を保有しているほか、45~55発を製造できる量の核分裂性物質を有すると分析した。日本の長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)は2022年版の報告書で、北朝鮮が保有する核弾頭は22年6月時点で40発と推定した。 米国防大学国家戦略研究所(INSS)は20年11月の発表時点で、北朝鮮の推定保有数を15~60発とした。 北朝鮮はすでに相当な量の核弾頭を開発、保有しているようだ。今後も有事の際に核を使った先制攻撃を仕掛けるか、あるいは核攻撃を受けた場合の反撃能力を確保するために核弾頭の保有量を増やしていくとみられる。 党中央委員会総会を終えて新年を迎え、北朝鮮は1日、中距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12」から取り外された弾頭が10発以上並ぶ武器庫を金正恩氏が視察する写真を公開した。韓国の専門家は2日、核弾頭を大幅に増やせという金正恩氏の指示を下支えする狙いがあると指摘した。「核の脅威」をちらつかせたとの見方も出ている。◇またも金正恩氏の娘が同行 「未来世代の安全」をアピールか 金正恩氏は戦術核の搭載が可能な弾道ミサイル武器庫の視察に、第2子とされる娘「キム・ジュエ」さんを伴った。朝鮮中央テレビが1日、党中央委員会総会の結果を報じる際、金正恩氏とジュエさんの姿をニュースの背景に使った。2人が腕を組み、弾頭が取り外された約10基の火星12と、ロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版と呼ばれる「KN23」を搭載した約10台の移動式発射台を見て回る姿が映し出された。この場面に関する説明は特になかった。 ジュエさんがメディアに登場するのは3回目。昨年11月、新型ICBM「火星17」の発射実験に立ち会う金正恩氏に同行。後日、この実験の関係者との記念撮影でも一緒に写真に納まった。それから約1カ月ぶりに再び登場した。 韓国統一部の趙重勲(チョ・ジュンフン)報道官は記者団からの質問に「北はこの写真が撮られた場所と日時を明らかにしなかった」と答えた後、「金委員長の娘が何度も取り上げられているだけに、政府は関連動向を引き続き注視していく」と述べた。 金正恩氏が核ミサイル基地の視察に娘を同行させる様子が公開されたことについて韓国の専門家は、娘を北朝鮮の未来を担う世代のシンボルとしてメディアに露出させ、この世代の安全を担保する手立てとして核兵器の必要性を訴え、核保有を正当化する思惑と解釈している。 政府系シンクタンク、統一研究院の洪珉(ホン・ミン)北韓研究室長は「未来世代の安全を強調しながら彼らを体制下に結束させるためのメッセージ」と受け止めた。北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)総長は「戦術核・戦略核兵器が(金一族の)白頭血統だけでなく北の未来世代を守る強大な威力の兵器ということを直接、間接的に示したもの」と見なした。
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