<W解説>元日からミサイルを発射した北朝鮮(画像提供:wowkorea)
<W解説>元日からミサイルを発射した北朝鮮(画像提供:wowkorea)
北朝鮮が1日未明、首都・ピョンヤン(平壌)のリョンソン(龍城)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射した。最高高度は約100キロ、飛行距離は約350キロで、日本の排他的経済水域(EEZ)の外側に落下したものと推定される。北朝鮮は前日にも弾道ミサイルを発射していて、年末年始に2日続けて軍事行動に出る、異例の事態となった。日米韓などは、北朝鮮が昨年以上に軍事的挑発を活発化させる可能性もあるとみて警戒を強めている。

キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ

ミサイル発射を受けて韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は1日、韓国軍制服組トップのキム・スンギョム(金承謙)合同参謀本部議長に対し「敵のあらゆる挑発に対し、確実に報復しなければならない」と指示した。また、日本政府は北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議した。岸田文雄首相は情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うことや、不測の事態に備え、万全の態勢を取ることなどを関係省庁に指示した。浜田靖一防衛相は記者団に対し、「北朝鮮は立て続けにミサイル発射を繰り返しており、断じて容認できない」と述べた。

一方、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は昨年末に開かれた党中央委員会総会で、核弾頭の保有量を大幅に増やす方針を示した。朝鮮中央通信によると、金総書記は「南朝鮮(韓国)が疑う余地のない我々の明白な敵となっている現況は、戦術核兵器の多量生産の重要性と必要性が強調され、核弾頭の保有量を大幅に増やすことを求めている」と指摘。2023年度核武力と国防発展の戦略を表明した。また、金総書記は「核武力は戦争抑止と平和安定の守護を第1の任務とするが、抑止失敗の際に第2の使命も決行する」と述べた。この発言について韓国の聯合ニュースは「武力衝突が起きれば核兵器を攻撃手段として用いる考えを示したものとみられる」と伝えた。

北朝鮮が核武力の強化を明言したことについて、韓国国防部(部は省に相当)は1日、「党中央委員会総会の結果発表と放射法の戦力化を通じた核能力の増強で、我々に核攻撃すると威嚇した。朝鮮半島の平和と安定を深刻に害する挑発的な言葉」と批判した上で「北は国際社会全体が反対する核開発を即刻やめ、非核化の道に復帰しなければならず、これだけが北の住民の生活を改善する唯一の道であることをはっきりと認識しなければならない」と指摘。「北がもし核使用を試みるのならば金正恩政権は終末を迎えるということを厳重に警告する」と強調した。

日米韓の高官は1日、電話協議を実施。外務省の船越健裕アジア大洋州局長と韓国外交部のキム・ゴン(金建)朝鮮半島平和交渉本部長、米国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表は、軍事力強化を掲げる北朝鮮の党中央委員会総会での方針決定について「国際社会に対する挑戦であり、情勢を悪化させるだけ」と非難した。その上で、対話の場に戻るよう改めて促した。

北朝鮮は昨年、過去最多となる37回のミサイル発射を行った。国防5か年計画に沿ってさまざまな兵器の廃発を進めており、昨年10月に発射した弾道ミサイルは日本の上空を通過し、これまでで最長となる4600キロを飛行した。3、11月には、米全土に届くとされる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級も発射した。

今年は、元日からミサイルを発射する異例の事態となっており、今後、各種ミサイルの発射や核実験の実施など、さらなる挑発行為に出てくる可能性も懸念される。この脅威に対処するために、日米韓の連携が重要であることは改めて述べるまでもない。こうした中、読売新聞によると、日韓両政府は北朝鮮のミサイルを探知・追尾するレーダー情報を即時共有する方向で検討を始めた。両国のシステムを米国経由で一部連結する案が浮上しているという。実現すれば、ミサイルの飛行データをこれまで以上に早く把握でき、ミサイル防衛や国民への情報発信などの能力向上につながる。

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