尹大統領(資料写真)=(聯合ニュース)
尹大統領(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の大統領室は北朝鮮が再び韓国の領土を侵犯する場合、2018年の「平壌共同宣言」の効力を停止する案も検討している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が北朝鮮の無人機侵入を受け、南北軍事合意の効力停止の検討を指示したことの延長線とみられる。

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 大統領室の高官は5日、「軍事合意に関連する別の合意に対する検討も必要だ」として、「事情の変更による南北合意書の無効化はわれわれの主権」と述べた。

 南北軍事合意は平壌共同宣言の付属合意書に位置付けられる。18年9月、当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が平壌共同宣言に署名。宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官と北朝鮮の努光鉄(ノ・グァンチョル)人民武力相(国防相に相当)が軍事合意に署名していた。

 文前大統領は同年10月23日、国会の同意を得ず二つの合意の批准手続きを終え、野党から強い非難を受けた。

 大統領室が両合意の無効化を考慮するのは、二つの合意の内容に密接なつながりがあるためだ。平壌共同宣言には「軍事合意を徹底遵守し、誠実に履行」などの内容が盛り込まれている。

 文前大統領と金正恩氏が18年4月に署名した「板門店宣言」の場合、国会の同意や批准手続きを踏まなかったため、法的な効力はない。そのため、効力停止の措置も不要というのが大統領室の判断だ。

 南北軍事合意と平壌共同宣言の両方を無効化するか、片方だけを無効化するかは尹大統領の決断次第だ。南北関係発展法では「大統領は南北関係に重大な変化が発生するか安保、秩序維持、公共福利のため必要だと判断される場合、南北合意書の効力の全部または一部を停止させることができる」と定めている。尹大統領が二つの合意の無効化を決断すれば、閣議の議決を経て公布できる。

 一方、韓国政府は南北軍事境界線付近での拡声器を使った宣伝放送や電光板掲示、ビラ散布の再開を検討しているようだ。南北軍事合意の無効化の実質的な措置となる。南北関係発展法は拡声器を使った宣伝放送や電光板掲示、ビラ散布を行う場合、3年以下の懲役か3000万ウォン(約310万円)以下の罰金に処すると定めている。だが、軍事合意の効力が停止すれば処罰規定が適用されないとの見方もある。


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