キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ
李氏は1956年生まれとされる。ピョンヤン(平壌)外国語大学卒業後北朝鮮外務省に入省した。駐英特命全権大使などを歴任した後、キム・ジョンイル(金正日)体制下で2010年に副外相に起用され、2011年には6か国協議(北朝鮮の核開発問題を協議する北朝鮮、韓国、日本、中国、米国、ロシアによる会合)の首席代表に任命された。その後、キム・ジョンウン(金正恩)体制下の2016年には外相に就任した。2017年9月、国連総会での演説のため訪米した際、記者会見で太平洋上での水爆実験の可能性を示唆したほか、総会の演説では弾道ミサイルによる米本土への先制攻撃の可能性を示唆した。
2018年8月に東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が開かれた際には、出席していた李氏と河野太郎外相(当時)が立ち話の形で短時間意見交換した。日本側からは拉致・核・ミサイルの問題を包括的に解決し、日朝平壌宣言に基づいて国交正常化を目指すとともに、拉致問題の解決に向けた直接対話に前向きな姿勢を伝えたと報じられた。これに対する李氏の反応は明らかにならなかった。
また、李氏は北朝鮮を代表する米国通の外交官としても知られ、米トランプ前政権との非核化交渉にあたった。2019年2月にベトナムのハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談では金総書記を補佐した。しかし、2020年1月、複数のメディアによって李氏が外相を解任されたと報じられた。解任理由は当時、米国との交渉が進まなかったことなどによるとの見方が報道された。
その李氏について、読売新聞は4日、北朝鮮の内情に詳しい複数の関係筋への取材の結果として、李氏が昨年処刑された模様と報じた。関係筋が同紙の取材に明らかにしたところでは、李氏の粛清時期について「昨年夏から秋頃」とし、粛清理由は明らかではないが、李氏を含む複数が在英国の北朝鮮大使館の勤務経験者という。同紙は「在英国大使館が関係した何らかの問題が背景の一つになった可能性がある」と伝えた。
同大使館をめぐっては、大使に次ぐ公使の地位にあったテ・ヨンホ(太永浩)氏が2016年に韓国に亡命した。亡命後、太氏は金正恩政権の実像を伝えるために積極的に情報発信してきた。金総書記の祖父、キム・イルソン(金日成)主席が核開発をするに至る舞台裏や北朝鮮特有の外交戦略、金正恩体制までを克明に記したノンフィクション「太永浩の証言 3階書記室の暗号」(2018年刊)は韓国でベストセラーになった。
太氏は2020年の韓国の総選挙で未来統合党(現・国民の力)から立候補して当選し、韓国の国会議員となった。当時、「政府が北朝鮮の現実を直視し、持続可能な対北朝鮮政策を展開できるように全ての力を尽くす」と涙ながらに語っている。一方、韓国当局は太氏が北朝鮮から亡命した要人であり、身の危険が懸念されることから、太氏に対して当選直後から最高水準の警備を敷いた。
その太氏は、「李氏が昨年処刑された模様」との報道について「個人的には事実ではないことを願う」とした。太氏は李氏と2004年から2007年まで英国大使館で共に勤務した。太氏は李氏と金総書記一族の格別な縁について言及。「李氏の父親は3階書記室の室長だった。3階書記室長は、韓国で言えば大統領の総務秘書官だ。李氏の父親であるリ・ミンジェ室長は正恩氏の実母であるコ・ヨンヒ(高英姫)氏とも縁が深く、正恩氏の面倒をよく見ていた」と話し、こうした深い縁から「李容浩処刑説」には疑問を呈した。だが、北朝鮮ではこれまで、家族ぐるみで付き合ってきた党幹部が次々と処刑されてきた。また、2013年には金総書記の叔父で、政権ナンバー2だったチャン・ソンテク(張成沢)氏が国家転覆陰謀罪で公開処刑されている。
韓国統一部(部は省に相当)の当局者は、「李容浩処刑説」について、「(李氏が)2020年4月以降、北朝鮮メディアで報道されていないことは事実だが、処刑されたかどうかについては確認されていない」とした。一方、韓国の情報機関、国家情報院は5日、李氏について「粛清されたことを確認した」との認識を示した。粛清理由は不明とした。
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