「どうか私の家を建てて」…工事費のインフレに見舞われた再建築事業=韓国(画像提供:wowkorea)
「どうか私の家を建てて」…工事費のインフレに見舞われた再建築事業=韓国(画像提供:wowkorea)
ソウル市永登浦区にあるナムソン・マンションの再建築事業が1年間も、施工会社を探すのに苦労しているという。再建築事業施工会社を選定するために、13日締め切りの入札公告を出したが、ロッテ建設だけが入札に参加した。入札公告を出したのは昨年初めからで、今回が4回目となる。2回はどこも入札せず、その後2回はロッテ建設だけが単独入札している。競争入札方式の中で4回の流札が続き、1年間の総工事費は1050億(約108億円)から1440億(約149億円)に増えた。組合はロッテ建設と随意契約を進めることを含め、施工会社選定のためにさまざまな案を模索中だ。

 一時、受注のために出血競争をいとわず、まるで戦場をほうふつさせる建設会社の受注戦が繰り広げられた。しかし、現在は再開発・再建築の施工会社を選ぶことが困難になってきている。天井知らずに急騰した原材料価格のせいで施工費は上昇。それに住宅市場の沈滞で分譲価格が逆に下がったためだ。施工会社は「現状況では工事するほど損害が確実な状況だ。受注戦に参加する理由はない」と語っている。

 17日、韓国の住宅整備業界によると、ソウル市内を問わず、再開発や再建築の施工会社を選ぶ際に、単独入札する事業所が続出している。

 ソウル市内では、東大門区の「清涼里第6区域再開発組合」で流札が出ている。施工会社を選ぶため、最近実施した2次入札でGS建設だけが単独入札した。このエリアは首都圏広域急行鉄道(GTX)の効果を期待していた地域だった。先の現場説明会には現代建設やポスコ建設など8社が参加。しかし、入札したのは1社だけだった。

 組合が提示した工事費は4869億2000万ウォン(3.3平方メートル当たり655万ウォン)だった。これは1~2年前までは江南の主要事業地で提案する価格水準だ。しかし、最近原材料価格の上昇などで、収支打算が合わない価格に転落している。

「清涼里第8区域」も施工会社が決まっていない。9日、施工会社選定の入札が進められたが、ロッテ建設の単独入札で結局流札となった。8区域もやはり工事予定価格は1728億8400万ウォンで、3.3平方メートル当たり640万ウォンに達する水準だったが、建設会社の参加を引き出せなかったという。

 中区の「新堂8区域再開発組合」では相次ぐ流札の末、結局随意契約することになり、優先交渉対象者の選定公告を出している。2回行われた入札にはポスコ建設が単独で参加した。組合は随意契約に決め、優先交渉対象者を選び、総会で最終施工会社を決める予定だ。組合では3752億6700万ウォン(3.3平方メートル当たり650万ウォン)を工事予定価格として提示している。

 ソウル市内では江南エリアでも競争入札のない事業地が登場している。ポスコ建設は7日、瑞草区の「方背新東亜施工会社選定総会」で競争者もなく、無難に施工会社に選ばれた。当初、現代建設との競争が想定されていたが、現代建設が早くから事業から手を引いたため、新規ブランド「オティエール」を前面に掲げたポスコ建設に決まったという。

 このように組合が施工会社の選定に苦労しているのは、最近になって急激に上がった原材料価格の影響だ。工事費を大幅に引き上げるべきだという施工会社と、過去の工事費額に固執する組合との温度差が大きくなっている。

 再建築組合は弱り目にたたり目だ。最近、マンション価格が急激に下落するなどの余波で、分譲市場では不確実性も大きくなっている。工事費の引き上げに固執することもできない状況だ。

 実際、住宅都市保証公社(HUG)が公開した昨年12月末時点での民間マンション分譲価格動向によると、ソウルの民間マンション平均分譲価格は1平方メートル当り902万4000ウォンで、3.3平方メートル当り2977万9200ウォンと把握されている。これは1平方メートル当たり998万3000ウォンを記録した2021年12月より9.60%(95万8000ウォン)も下落した数値だ。3.3平方メートル当たりにすれば、1年間で316万4700ウォンも下がった。

 最近、施工会社の選定を終えたある再建築団地の組合長は、「事業性を問い詰める組合員らと、工事費を上げてくれという施工会社の間で合意点を見いだすのに苦労した。工事費を上げれば、一般分譲価格を上げるほかはない。それだけに最近のような分譲市場の雰囲気では、売れ残りのリスクまで抱え込むことになり慎重だ」と吐露した。

 ある大型建設会社の都市整備事業部門役員は「最近1年間に工事費が25%水準に上がってしまった。現実をまともに反映できない工事費では、工事を進めること自体ができない。最近、労組問題まで重なり建設会社としては悪材料が増えている。それに比べ事業の収益は減っている」と雰囲気を伝えた。
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