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豊山犬は北朝鮮の豊山郡(現・金亨権郡と豊西郡)原産の狩猟用犬種。日本犬とは血統的に近く、紀元前から存在していたとされる。猟犬として飼われていたが、徐々に数が減り、1942年、当時朝鮮半島を統治していた朝鮮総督府が天然記念物に指定した。戦後、朝鮮が日本の統治から離れるクァンブク(光復)と共に国宝に指定されたほか、第35代重要天然資源に指定された。
豊山犬の雄「ソンガンイ」と雌の「コミ」は、2018年9月の南北首脳会談の際に金総書記からプレゼントされた。文氏の大統領在任中は大統領府で飼育されてきた。文氏が国家元首として受け取った2匹は法律上、大統領記録物に分類されるため、文氏の大統領退任に伴い、2匹の引継ぎ問題が浮上した。
文氏は任期最終日、自身が任命した大統領記録館長との間で犬の管理費について支援を受ける協約を結んだ。しかし、費用が月250万ウォン(約26万円)に上ることがわかり、新政権から疑問の声が噴出。ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は「たとえ首脳間の贈り物であっても、それまで育てていた主人が引き受けるべきだ」と主張し、結局、文氏が私費を投じて私邸で2匹の飼育を続けた。だが文氏は昨年11月、2匹を国に返還する意向を表明。大統領記録館に返還されることになった。法律上は記録物だが、生き物のため、貸与という形で光州市のウチ(牛峙)動物園で飼育されることとなった。2匹は先月12日、同園に移送された。文氏が2匹を手放したことについて、一時は文氏が飼育の費用を惜しんでいるのではとの見方も広がったが、文氏は「この6か月間、大統領記録物であるペットに対して、すべての費用を負担し愛情を注いできた」と反論した。
しかし、この2匹をめぐって再び問題が発生した。光州市が、飼育関連費用として1億5000万ウォンの補正予算を組んでいることが明らかになり、批判が噴出する事態となっている。これを報じた朝鮮日報によると、健康管理に必要な医療機器などは約5000万ウォンで、血液分析機や歯科関連器具、レントゲン、微生物培養器などが含まれるという。2匹のうち、コミは膀胱結石の治療が必要な状態で、手術を受ける可能性もあるという。歯科関連器具は2匹の歯石の除去に使われる。さらに、盗難防止用の監視カメラの設置や遊び場の造成、既存の豊山犬3匹を合わせた計5匹を飼育するための室内飼育場の拡張費用も含まれるという。飼育場などの環境整備には1億ウォンが投じられる計画となっている。
同市の関係者は、朝鮮日報の取材に「コミとソンガンイは突然やってきたため、長期的に管理するための運動場や飼育場が必要となる。予算1億5000万ウォンは今年限りの予定」と説明した。
しかし、この予算案をめぐって批判が相次いでおり、朝鮮日報は「検査機器に1億5000万ウォンもの国民の血税を投じるとは理解できない」「病気なら動物病院に行けばいい。なぜわざわざ高価な機器を購入するのか」などネット上の否定的なコメントを紹介した。
2匹は金総書記から文氏に贈られた際、南北融和の象徴的存在として温かく迎え入れられた。「ソンガンイとコミは大統領府に到着した直後に敷地内を散歩したが、まだ慣れていないようだ」などといった大統領府関係者の当時のコメントからは、2匹を関係者みんながかわいがっている、ほのぼのと様子が伝わってくる。しかし今、当時とは対照的に、2匹の飼育管理費用をめぐって昨年の騒動に続きまたも騒がしい状況となっている。
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