昨年9月、韓国北部の統一展望台から眺めた北朝鮮(資料写真)=(聯合ニュース)
昨年9月、韓国北部の統一展望台から眺めた北朝鮮(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の中では生活水準が比較的高いとされてきた南部の開城市で、餓死する人が続出しているようだ。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が先月2度も幹部や側近を現地に派遣し、実情を把握するとともに人々の不安をなだめようとしたが力不足だったと、北朝鮮情報筋が6日伝えた。北朝鮮が今月後半以降に朝鮮労働党中央委員会総会を開いて農業対策を話し合うのも、こうした状況が背景にあるとみられる。 情報筋によると、近ごろ開城では毎日数十人の餓死者が出ている。厳寒も相まって暮らしが立ち行かず、自殺者も多いとされる。 報告を受けた金正恩氏は、先月中旬にようやく幹部を開城に派遣した後、同市を対象に「2月から食糧を国定価格の半分で配給すること」と指示した。だが混乱が深まったことから、先月末に側近を現地に送り、「無償配給」に変更したという。 さらに各地方当局に対し、今月から「配給量のうち一部を返上せよ」という指示があった。開城市での無償配給によって減った食糧備蓄を補充する措置とみられる。 北朝鮮メディアが「愛国米の献納運動」に言及することも増えた。農民に献納を呼び掛けたり、地方や中央機関幹部の穀物献納のニュースを伝えたりしている。 情報筋は開城市について「党中央が直接管理する『特別市』で、『労働者も車に乗っている』と言われ、北朝鮮住民からうらやまれる都市」とした後、「開城の悲劇が北の内部に与えた衝撃は非常に大きい」と伝えた。 韓国政府当局は、北朝鮮が金正恩氏の指示で昨年末、市場を締め出して穀物の生産と流通を統制する「新糧穀政策」を打ち出して以降、食糧調達に深刻な問題が起きているとみているようだ。政府関係者は「食糧安定に使うべき財源を核とミサイル挑発につぎ込んでおり、第2、第3の開城の悲劇が憂慮される」と述べた。 北朝鮮メディアによると、党は2月後半以降に中央委員会総会を開き、「切迫した焦眉の課題」として農業問題を取り扱うことにした。通常は年1~2回しか開催しない中央委員会総会を、前回から2カ月ほどで再び開くことになる。それだけ北朝鮮の食料難が深刻で、喫緊の課題であることをうかがわせる。 韓国農村振興庁によると、2022年の北朝鮮の食糧収穫量は451万トンで前年に比べ約3.8%減少した。国連食糧農業機関(FAO)は昨年7月、北朝鮮を外部からの食料支援が必要な国に再指定した。
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