<W解説>北朝鮮メディアがミサイル発射を「速報」=その狙いとは?(画像提供:wowkorea)
<W解説>北朝鮮メディアがミサイル発射を「速報」=その狙いとは?(画像提供:wowkorea)
北朝鮮は20日午後7時頃から西部のピョンアンナムド(平安南道)・スクチョン(粛川)から日本海に向けて2発の短距離弾道ミサイルを発射した。北朝鮮は18日にも大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」を発射している。今年に入っての弾道ミサイル発射は今回が3回目。米韓が19日に実施した戦略爆撃機などによる合同訓練に対抗したものとみられる。北朝鮮メディアは今回、発射から1時間17分後の異例の速さで発射のニュースを伝えた。北朝鮮メディアは通常、発射翌日にその事実を報じており、今回の「速報」にはどんな狙いがあるのか。

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20日朝に発射された2発は、いずれも日本のEEZ(排他的経済水域)の外側に落下したものとみられる。1発目は最高高度が約100キロ、飛行距離が約400キロで、2発目は最高高度が約50キロ、飛行距離が約350キロと推定される。韓国軍合同参謀本部は「北の相次ぐ弾道ミサイル発射は、朝鮮半島だけでなく、国際社会の平和と安定を損なう重大な挑発行為であり、国連安全保障理事会の決議に対する明白な違反。これを強く糾弾し、即座に中止するよう促す」と表明した。

北朝鮮が先週末から立て続けに弾道ミサイルを発射したことを受け、韓国政府は20日、北朝鮮の核・ミサイル開発や対北朝鮮制裁の回避などに関与した個人4人と5機関を独自の制裁の対象に追加すると発表。昨年5月のユン・ソギョル(尹錫悦)政権の発足後では、今月10日以来、4回目の対北朝鮮独自制裁となる。今回の追加制裁により、韓国が指定した独自制裁の対象は個人31人と35機関となった。外交部(外務省に相当)は「米国、日本などの友好国と同一の個人や機関を独自制裁対象に指定し、国際社会の警戒心を高めることで制裁効果を強化し、友好国間の対北政策協力の強化にも寄与する」との立場を示した。

また、国連安全保障理事会は20日午後(日本時間21日未明)に緊急会合を開くことを決めた。

今回の北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射について、韓国の聯合ニュースは「発射地点の粛川からの飛行距離を計算すると、韓国中部チュンチョンナムド(忠清南道)・チョンジュ(清州)やソウル郊外のキョンギド(京畿道)・オサン(烏山)、西部のチョルラナムド(全羅南道)・クンサン(群山)までが攻撃範囲に入る」と指摘した上で「清州にある戦闘機F35Aの基地や烏山、群山の米空軍基地などを攻撃目標と想定して撃ったと分析される」と伝えた。

北朝鮮は弾道ミサイル発射直後、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)朝鮮労働党副部長の談話を発表。与正氏は「太平洋を我々の射撃場として活動する頻度は米国の行動にかかっている」とし、日本列島上空を越えるミサイルの発射を警告した。また「朝鮮半島地域での米軍の戦略的手段の動きが活発になっている」とし、「わが国家の安全に及ぼす影響を検討しており、憂慮があると判断される時には相応の対応に乗り出す」と主張した。

今回、北朝鮮の朝鮮中央通信は、発射から約1時間後の異例の速さでミサイルの種類や飛距離などについて報道。2発のミサイルは韓国を攻撃する戦術核兵器としての使用が想定される600ミリ口径の「超大型放射砲」だったと明らかにした。この放射砲について同通信は「軍の最新型の多連発精密攻撃武器体系」で、「恐るべき威力を誇る戦術核攻撃手段」と説明した。

北朝鮮メディアはこれまで、ミサイル発射に関する報道は発射翌日に内容を報じるか、別のミサイル発射と合わせて後日伝えてきた。しかし、今回は異例の「速報」になった。これについて産経新聞は「間髪を入れないメディア攻勢を仕掛けることで、日米韓への軍事的圧力を一層高め、今後の駆け引きで優位に立つ狙いとみられる」と分析。「速報」は「発射の確実さへの自信の表れとみられる」と伝えた。

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