キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ
韓国の国防白書の刊行は1967年に始まってから隔年で発刊されており、今回が25回目。国家の安全保障政策や国家の防衛の根幹となる対外関係、北朝鮮の軍事力の現況、対応戦略などが記されている。
今回の白書では、北朝鮮について「2021年に改正された労働党規約の前文で朝鮮半島全域の共産主義化を明示し、2022年12月の党中央委員会全員会議で韓国を『明白な敵』と規定した」と指摘。「核を放棄せず、引き続き軍事的脅威を加えてきているのだから、その遂行主体である北朝鮮の政権と北朝鮮軍は韓国の敵」と明記した。
北朝鮮を「敵」とする表現が復活したのは、昨年5月に発足したユン・ソギョル(尹錫悦)政権と同じ保守系のパク・クネ(朴槿恵)政権下の2016年版以来、6年ぶり。このことについて韓国国防部は「北朝鮮の対南政策、韓国を敵と規定した事例、持続的な核戦力高度化、軍事的脅威や挑発などを総合的に考慮した」と説明した。
北朝鮮を「主敵」と初めて明記したのは1995年刊行の白書だった。前年の南北実務接触時に北朝鮮側の代表が「戦争が起きればソウルは火の海になる」と発言したことがきっかけで、「主敵」の表記は2000年版の白書まで続いた。南北に和解ムードが広がると2004年版白書では「直接的な軍事脅威」に表現が変わり、保守系のイ・ミョンバク(李明博)政権発足後の2008年版の「直接的で深刻な脅威」と記された。
また、今回の国防白書では、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記を既存の「金正恩国務委員長」から職責を除いた「金正恩」と表記した。これについて韓国国防部は、北朝鮮が韓国の大統領を指す言葉や対南行動を考慮したと説明している。さらに、韓国の当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮の金総書記による2018年9月の南北首脳会談に合わせて締結された「9.19南北軍事合意」について、前回の国防白書では「一般付録」に載せられていたが、今回は「北朝鮮の9.19軍事合意の主な違反事例」のみが取り上げられた。「9.19南北軍事合意」は、南北軍事境界線付近の地上、海上、空中での敵対行為を中止するという内容が盛り込まれている。
今回の白書は、北朝鮮に厳しい姿勢を目指す尹政権の方針が反映された形だが、南北の軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)近くに住む韓国の住民たちからは懸念の声が上がっている。キョンギド(京畿道)パジュ市・ヨンチョンのカフェの経営者は韓国メディアのヘラルド経済の取材に「なぜ政府からあえて北朝鮮を挑発するのかわからない。『敵』だと表記すれば、当然、(北朝鮮から)軍事的挑発も来る可能性があるのではないか。最初に被害を受けるのはDMZ近くに住む住民たちだ」とし、「それだけでなく、南北関係において緊張が高まれば心理的に人々は不安になり、この一帯に来る外部からの観光客たちも減ることになるだろう」と懸念した。
一方、日本に関しては、前回の「隣国」から「近い隣国」に格上げした。日本を重視する尹政権の姿勢が反映された形だ。日本に関する記述では、ノ・ムヒョン(盧武鉉)政権時代に公表した2006年版では「普遍的な価値を共有する主要な隣国」と記され、続くイ・ミョンバク(李明博)政権の2008年版と2010年版、2012年版、朴槿恵政権の2014年版では、いずれも「自由民主主義と市場経済の基本価値を共有している」との記述にとどまった。2016年版ではそれに加え「北東アジア地域はもちろん、世界の平和と繁栄のためともに協力していくべき隣国」と表現。文在寅政権で公表された2018年版では「韓日両国は地理的、文化的に近い隣国で、世界の平和と繁栄のためともに協力すべき同伴者」と記述した。2020年版では「日本は両国関係だけでなく、北東アジアや世界の平和と繁栄のためにも共に協力すべき隣国」と記された。
また、今回、国防交流協力の国別記述の順番で、2016年版以降、初めて日本を最初に記述した。2018年版と2020年版では中国を最初に記述し、日本は2番目だった。
国防白書は今年上半期中に英語翻訳版と4言語(英語、日本語、中国語、ロシア語)による要約版が刊行される予定。
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