<W解説>北朝鮮の金総書記の娘に向けられる、住民の冷ややかな視線(画像提供:wowkorea)
<W解説>北朝鮮の金総書記の娘に向けられる、住民の冷ややかな視線(画像提供:wowkorea)
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記の娘、キム・ジュエ氏が最近、公の場に度々登場している中、米政府系のメディア「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が伝えたところによると、北朝鮮の住民の間から、ジュエ氏の服装などについて不満が出始めているという。

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RFAの取材に応じた北朝鮮北西部のピョンアンプクド(平安北道)の住民消息筋は「今月(2月)だけでも、軍事パレード(8日)、スポーツ競技観覧(17日)に続き、(25日に行われたニュータウンの着工式現場で)3回目の登場となったお嬢様の姿を注視した住民たちは、『(ジュエ氏が)どれだけしっかり食べているのか、顔が満月のようだ』という話を親しい人間同士でやり取りしている」と明かした。さらにこの消息筋は「今、住民らはきちんと食べられずに頬がこけ、非常にみじめだ」と住民の実情を説明した上で「ところが(ジュエ氏は)いいものを食べていい暮らしをしている貴族の顔で、しかも華麗な服装がテレビで頻繁に放送されるのだから腹が立って耐えがたい」と語った。

ジュエ氏とみられる少女は昨年11月、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した際に初めて確認された。ジュエ氏が発射を視察する金総書記に同行する様子を撮影した写真を北朝鮮メディアが公開。「『愛するお子様』が同行した」と伝えた。北朝鮮のメディアが金総書記の子供を公式に報じたのはこの時が初めてだった。

その後、ジュエ氏は先月8日に首都・ピョンヤン(平壌)中心部のキム・イルソン(金日成)広場で行われた朝鮮人民軍の創設75年の軍事パレードに出席。北朝鮮の朝鮮中央通信は9日、軍事パレードを伝える記事の中で「金正恩同志が愛するお子様、(夫人の)リ・ソルジュ(李雪主)女史とともに広場に到着された」と報じた。同通信が公開した写真からは、黒い帽子にコート姿のジュエ氏が正恩氏の手を握り、レッドカーペットの上を歩いて会場に入る様子が確認できる。

軍事関連の行事以外でも、先月17日、金総書記らと一緒にサッカーの試合を観戦する様子が、北朝鮮メディアによって伝えられた。観戦した試合は内閣と国防省職員の対抗試合で、金総書記の父、キム・ジョンイル(金正日)氏の誕生日である「光明星節」を記念して開かれた。さらに先月25日には、首都・平壌の西浦地区で行われたニュータウン建設の着工式に出席。金総書記とともに鍬(くわ)入れを行ったと伝えられた。

最近、ジュエ氏が公の場に頻繁に登場しているのは、金総書記の祖父、キム・イルソン(金日成)主席の直系を示す「ペクトゥ(白頭)血統」の正当性を国内に示す狙いがあるとみられている。

だが、前出のRFAの報道によると、住民の反応は冷ややかなようだ。RFAの取材に応じた消息筋は「住民らは、宣伝メディアに頻繁に登場するお子様(ジュエ氏)の丸々とした顔を見ながら、食糧不足で日々の食事もきちんととれない庶民の子供のやせこけた顔とあまりに違うと、込み上げる怒りの感情をそのままぶちまけている」と語った。

現在、北朝鮮の食糧難は、1990年代半ばの大飢饉以降、最も深刻な状況となっているとされる。今年1月、韓国メディアが米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」の報道を引用して伝えたところによると、北朝鮮の穀物の需要と供給量、食料価格などを基に分析した結果、穀物の在庫量が最低必要量以下に下がっていることが分かった。最低必要量は、食糧均等配分を前提に社会維持に不可欠な食糧の下限をいう。北朝鮮は、国連食糧農業機関(FAO)基準の最低必要量の80%水準と推定された。

また、北朝鮮は昨年、過去にない頻度でミサイル発射を行ったが、昨年、ミサイル発射にかかった費用で全住民が46日間食べられる米を購入できるとの試算も出ている。

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