【ソウル聯合ニュース】韓国と米国が13日に大規模な合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾、FS)」を開始し、これに対抗して北朝鮮は潜水艦から戦略巡航ミサイルを発射した。韓米は合同演習に合わせて米国の原子力空母や戦略爆撃機、原子力潜水艦なども展開する見通しで、北朝鮮はさらに反発を強めると予想される。韓国の専門家らは北朝鮮が固体燃料式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、あるいは太平洋に向け通常角度でICBM「火星17」を発射したり、7回目核実験を実施したりする可能性を指摘する。朝鮮半島情勢は厳しさを増す一方だ。 韓米の合同演習は13日から11日間実施される。師団級の合同上陸訓練「双竜訓練」と合同特殊作戦訓練「チーク・ナイフ」をはじめとする約20の実動訓練(FTX)も予定している。 今回の大規模なFTXは、北朝鮮融和路線を取った文在寅(ムン・ジェイン)前政権期の2018年を最後に中断された「フォールイーグル」が事実上復活したことを意味する。尹錫悦(ユン・ソクヨル)現政権は韓米合同訓練を再び大規模に実施することで、北朝鮮に対する路線の転換を象徴的に示すといえる。 特に合同上陸訓練と合同特殊作戦訓練は有事の際に北朝鮮指導部を除去する「斬首作戦」の熟達を図るもので、北朝鮮は極度に警戒している。 合同演習期間中には朝鮮半島に米国の戦略爆撃機B1Bやイージス艦などが出動するほか、今月末ごろ米原子力空母ニミッツも派遣され、北朝鮮に対する抑止力を誇示するとみられる。また韓米日は3カ国でのミサイル警戒訓練について協議を進めている。 韓国軍関係者は、今回の演習が韓米同盟強化と「力による平和」に向けた尹政権の意志を表すとともに、韓米日の安全保障協力強化の契機になると見込む。 韓米の合同演習と米国の戦略資産展開に、北朝鮮は軍事的な対抗措置を取ると予想される。早速、韓米に警告を突きつけ、挑発のレベルを高めていくことを示唆する行動に出た。12日未明に東部の咸鏡南道・新浦に近い景浦湾で、コレ級(2000トン級)潜水艦から戦略巡航ミサイル2発を発射した。北朝鮮が潜水艦から巡航ミサイルを発射するのは初めてで、潜水艦の攻撃能力の拡大、強化がうかがえる。 北朝鮮は「戦略巡航ミサイル」と表現して核弾頭の搭載が可能なことをほのめかし、核の脅威をちらつかせた。ミサイルが1500キロ飛行したとも明らかにした。韓国全域と在日米軍基地を射程に収めることになる。 北朝鮮は金正恩(
キム・ジョンウン)国務委員長(党総書記)の主宰で11日に開催されたとみられる党中央軍事委員会拡大会議で「戦争抑止力をより効果的に行使して威力的、攻勢的に活用するための重大な実践的措置」を決定し、その翌日に挑発に踏み切った。今後、米国の戦略資産が朝鮮半島に展開されれば、北朝鮮の対応はさらに強硬になると考えられる。 金正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長も7日に発表した談話で、韓国軍と米軍の動きを注視しているとしながら「判断によっていつでも迅速かつ圧倒的な行動を取る常時的準備態勢にある」と警告した。 北朝鮮はこの先、ICBMを通常の角度で発射したり固体燃料式のICBMを発射したりする可能性があると指摘される。実験の準備を終えたとされる北東部・豊渓里の核実験場で7回目の核実験を実施する恐れもある。核実験を行う場合、超大型核弾頭もしくは戦術核小型化の実験になると予想される。北朝鮮はまた、軌道投入を目標に軍偵察衛星を4月中に打ち上げる可能性も高い。 北朝鮮がさらなる挑発に踏み切れば、朝鮮半島の先行きは全く見通せなくなる。現在は韓米日の安保協力に北朝鮮が対抗するという構図だが、北朝鮮の挑発にブレーキをかける環境づくりは容易でない。 韓国・北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)総長は「党中央軍事委員会が戦略巡航ミサイル実験を主管することで、韓米軍事訓練への北の全国的、全軍的な激しい対応を予告した」との認識を示した。緊張が高まる中で韓米、北朝鮮軍部とも疲れをためており、何かしらの事故が偶発的な衝突につながれば局地戦になりかねないと懸念した。
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