<W解説>北朝鮮のミサイル訓練写真、金総書記の近くに立つ、モザイク処理された人物は誰?(画像提供:wowkorea)
<W解説>北朝鮮のミサイル訓練写真、金総書記の近くに立つ、モザイク処理された人物は誰?(画像提供:wowkorea)
北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」が今月20日に掲載した、キム・ジョンウン(金正恩)総書記がミサイル発射訓練を視察する様子を撮影した写真に注目が集まっている。金総書記の近くに立つ軍服姿の人物の顔にモザイクが施されているからだ。北朝鮮の主要メディアが公式行事への参加者の顔を隠すことは通常、ほとんどない。

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北朝鮮は戦術核による反撃を想定し、19日、金総書記の立会いのもと、北西部のピョンアンプクト(平安北道)で戦術弾道ミサイルを発射する訓練を行った。ミサイルには核弾頭を模擬した実験用の弾頭が装着され、800キロ飛行した後、日本海の上空800メートルで爆発させた。起爆装置の動作を確認できたとしている。

韓国軍は北朝鮮が19日に平安北道から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射したと明らかにしており、北朝鮮の発表はこのミサイルを指すとみられる。戦術核の実戦使用の可能性を一段と明確に示し、露骨に威嚇した形だ。

労働新聞が伝えたところによると、訓練に立ち会った金総書記は「今日の形勢は、我々の核戦争抑止力を幾何級数的に増大させることを切迫して要求している」とした上で、「いつでも敵に恐怖を与えられるよう、迅速かつ正確に稼働できる核攻撃態勢を完備してこそ、戦争抑止の重大な戦略的使命を果たせる」と強調した。金総書記のこの発言について、韓国紙のハンギョレ新聞は「北朝鮮が韓国を狙った戦術核兵器を使用する意向を示すとともに、昨年9月の北朝鮮核武力政策法の『戦争抑止』を具体化したものとみられる」と伝えた。核武力政策法は昨年9月に開かれた北朝鮮の最高人民会議(国会に相当)で採択され、核兵器の使用原則や指揮統制、管理などを規定している。核や大量破壊兵器で北朝鮮が攻撃された場合に加え、こうした攻撃が「差し迫った」場合には、核兵器を使用できると定めている。

19日の訓練には金総書記の娘、ジュエ氏も立ち会った。ジュエ氏は昨年11月、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した際に初めて確認された。ジュエ氏が金総書記に同行する様子を撮影した写真を当時、北朝鮮メディアが公開。「『愛するお子様』が同行した」と伝えた。北朝鮮のメディアが金総書記の子供を公式に報じたのもこの時が初めてだった。

ジュエ氏は、昨年11月のICBM発射、同月のICBM開発関係者との記念撮影に続き、先月の朝鮮人民軍創設75周年の宴会、軍事パレードと最近、公式行事に頻繁に登場。韓国では、メディアや専門家から、ジュエ氏が金総書記の後継者ではないかとの見方が出始めている。

ここまでは、従来と何ら変わらないが、今回、労働新聞が金総書記の訓練の視察の様子として掲載した写真では、金総書記のそばに立つ軍服姿の一人の男性の顔にモザイクが施されていた。さらにこの人物はサングラスにマスクも着用しており、北朝鮮側がの何らかの意図がうかがえる。

韓国の聯合ニュースは「北朝鮮の主要メディアが公式行事の出席者の顔をこういった形で隠すのは異例。これまでは、海外のスポーツ試合を録画中継する際に西側企業の広告をモザイク処理したり、粛清された人物の登場部分を後から編集したりする程度だった」と指摘。その上で聯合は「正恩氏のそばでミサイルの発射訓練に立ち会ったことから、モザイクが施された人物が重要な地位にいることは間違いなさそうだ」と分析した。朝鮮中央通信は、今回の訓練にはカン・スンナム(強純男)国防相、戦術核運用部隊を総指揮する連合部隊長、東部・西部前線のミサイル軍部隊長、党中央委員会の幹部、ミサイル総局の指揮官、核兵器研究所の関係者らが立ち会ったと伝えていることから、聯合は「この人物が戦術核運用部隊を総指揮する連合部隊長、あるいはまだ公開されていないミサイル総局の総局長である可能性も取り沙汰されている」と伝えた。

一方、韓国統一部(部は省に相当)の報道官は20日の記者会見で「写真上では人物を識別するのが難しい。関係機関などと共に分析する」とした。

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