キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ
韓国外交部(外務省に相当)のイム・スソク報道官は今月23日、定例記者会見で「来月3日または4日に国連人権理事会の北朝鮮人権決議が採択される予定だ」とした上で、共同提案国の復帰を明らかにした。復帰の背景についてイム氏は「自由、民主主義、平和など普遍的な価値を重視し、グローバル中枢国家の実現を目指している韓国の立場と基調が反映された」と説明した。
国連高等弁務官事務所(OHCHR)は先月、国連人権理事会に北朝鮮の人権状況に関する報告書を提出。深刻な人権侵害が北朝鮮にあるとし、北朝鮮政権に対し、これをなくすための措置を講じるよう求めた。さらに、人権理事会の加盟国には、北朝鮮における人権侵害の加害者に対する責任究明のための追加措置を取るよう勧告した。韓国外交部はOHCHRの報告書について「北の人権侵害に関する記録そのものも重要だが、国際社会の関心を維持し、人権侵害者に自覚を持たせるという点で、より重要だ」と評価。北朝鮮の人権状況改善のため、国際社会の努力に加わっていくと表明した。
また、米人権団体の「フリーダムハウス」が今月9日に発表した各国の自由度を分析した報告書で、北朝鮮の「自由指数」は100点満点中わずか3点で、世界最下位圏となった。報告書では世界の210か国・地域を「完全に自由な国」「部分的に自由な国」「自由でない国」の3種類に分類している。北朝鮮については「王朝形態の全体主義一党独裁国家で、定期的に重大な人権侵害に加担している」として、「監視がまん延し、恣意(しい)的な逮捕と拘禁が頻繁に発生しており、政治犯罪に対する処罰が過酷だ」と指摘した。
さらに、今月24日、北朝鮮の拘禁施設で発生した人権侵害に関する報告書を公表した英国の北朝鮮人権団体コリアフューチャーは「北朝鮮内の広範囲で体系的な人権侵害が依然として続いており、被害者のための実質的な責任究明はまだ難しい状態」とした。
北朝鮮における人権について、各国の人権団体などから深刻な状況が報告される中、前述のように、韓国は国連人権理事会で近く採択される見通しの北朝鮮の人権侵害を非難する決議案の共同提案国に復帰する。人権理事会では毎年同様の決議が採択されているが、北朝鮮の融和姿勢を取ったムン・ジェイン(文在寅)前政権下では共同提案に加わっていなかった。決議案はスウェーデンが欧州連合(EU)を代表して今月21日付で提出した、決議案には北朝鮮に「反動思想文化排撃法」の見直しを求める新たな内容も盛り込まれた。同法は、韓流コンテンツを「人民の精神をむしばむ社会主義の敵」とみなす北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)政権が韓国文化の流入を厳しく取り締まることを主たる目的として2020年に制定された。
内容はかなり過激なものとなっている。同法27条では「南朝鮮(韓国)の映画、録画物、編集物、図書、歌、図画、写真などを直接見たり聞いたり保管した者は5年以上15年以下の労働教化刑(懲役刑)を宣告され、コンテンツを流入させ流布した者は、無期労働教化刑(無期懲役刑)や死刑など最高刑に処す」と定めている。
2021年には北東部のリャンガンド(両江道)で、韓国映画を見ていた中学生が同法に基づき14年の労働教化刑(懲役刑)に処された。昨年10月には中朝国境の都市、ヘサン(惠山)で、韓国ドラマなどを友人へ回し見させた高校生2人が公開処刑されたという。
昨年5月に発足した韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)政権は北朝鮮の人権問題を重視しており、5年ぶりに共同提案国に復帰したのもその強い意思の表れと見ることができる。尹政権は今後も北朝鮮の深刻な人権状況を改善するため、国連など国際社会の努力に積極的に関わる方針だ。
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