<W解説>北朝鮮・金総書記のそばに立っていた「モザイクの男性」は戦術核部隊の連合部隊長だった?(画像提供:wowkorea)
<W解説>北朝鮮・金総書記のそばに立っていた「モザイクの男性」は戦術核部隊の連合部隊長だった?(画像提供:wowkorea)
先月、北朝鮮メディアが掲載した、キム・ジョンウン(金正恩)総書記がミサイル発射訓練を視察する様子を撮影した写真に、モザイク処理された軍服姿の男性が写っていたことをめぐり、韓国の国家情報院は今月2日、この男性について「戦術各部隊の運用を指揮する連合部隊長の可能性がある」との見方を示した。

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北朝鮮は戦術核による反撃を想定し、先月19日、金総書記の立会いのもと、北西部のピョンアンプクト(平安北道)で戦術弾道ミサイルを発射する訓練を行った。ミサイルには核弾頭を模擬した実験用の弾頭が装着され、800キロ飛行した後、日本海の上空800メートルで爆発させた。起爆装置の動作を確認できたとしている。

北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」が伝えたところによると、訓練に立ち会った金総書記は「今日の形勢は、我々の核戦争抑止力を幾何級数的に増大させることを切迫して要求している」とした上で、「いつでも敵に恐怖を与えられるよう、迅速かつ正確に稼働できる核攻撃態勢を完備してこそ、戦争抑止の重大な戦略的使命を果たせる」と強調した。金総書記のこの発言について、韓国紙のハンギョレ新聞は「北朝鮮が韓国を狙った戦術核兵器を使用する意向を示すとともに、昨年9月の北朝鮮核武力政策法の『戦争抑止』を具体化したものとみられる」と伝えた。核武力政策法は昨年9月に開かれた北朝鮮の最高人民会議(国会に相当)で採択され、核兵器の使用原則や指揮統制、管理などを規定している。核や大量破壊兵器で北朝鮮が攻撃された場合に加え、こうした攻撃が「差し迫った」場合には、核兵器を使用できると定めている。

訓練には金総書記の娘、ジュエ氏も立ち会った。ジュエ氏は昨年11月、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した際に初めて確認された。ジュエ氏が金総書記に同行する様子を撮影した写真を当時、北朝鮮メディアが公開。「『愛するお子様』が同行した」と伝えた。北朝鮮のメディアが金総書記の子供を公式に報じたのもこの時が初めてだった。

ジュエ氏は、昨年11月のICBM発射、同月のICBM開発関係者との記念撮影に続き、先月の朝鮮人民軍創設75周年の宴会、軍事パレードと最近、公式行事に頻繁に登場。韓国では、メディアや専門家から、ジュエ氏が金総書記の後継者ではないかとの見方が出始めている。

ここまでは、金総書記の幹部らによる通常の訓練視察の様子として従来と何ら変わらないが、「労働新聞」は翌20日に訓練を報じる記事に掲載した写真では、金総書記の近くに立つ軍服姿の1人の人物の顔にモザイクが施されていた。北朝鮮の主要メディアが公式行事への参加者の顔を隠すことは通常、ほとんどないことから、この人物が何者なのか注目を集めた。さらにこの人物はサングラスにマスクも着用していた。

この写真について報じた韓国の聯合ニュースは当時「正恩氏のそばでミサイルの発射訓練に立ち会ったことから、モザイクが施された人物が重要な地位にいることは間違いなさそうだ」と分析した。一方、韓国統一部(部は省に相当)の報道官は先月20日の記者会見で「写真上では人物を識別するのが難しい。関係機関などと共に分析する」としていた。

国家情報院は今月2日、モザイク処理された軍服姿の男性について「戦術核部隊の運用を指揮する連合部隊長の可能性がある」と分析。その根拠として国家情報院は、男性が金総書記を至近距離で補佐しており、北朝鮮軍の指揮官が携帯するクロスバック型の革のカバンを持っている点を挙げた。

北朝鮮としては、この男性にモザイクは施すものの、戦術核運用部隊が既に実践段階に入っていて、それを指揮する責任者がいることを内外に示す狙いもあったのではないかとの見方も出ている。

戦術核運用部隊とは、日本上空を通過した中距離弾道ミサイルを含め、昨年9~10月に集中的に発射された中・長距離弾道ミサイルの運用を担う部隊。韓国や日本を標的とした想定で結成された。今年2月に平壌のキム・イルソン(金日成)広場で行われた朝鮮人民軍創建75年を記念する軍事パレードでも登場した。

また、国家情報院は、男性をモザイクで身元が分からないようにした理由について、「(対北朝鮮)制裁対象に指定される可能性を意識したとみられる」と分析。「過去にも正恩氏の『重要兵器システム生産軍需工場』訪問報道の際、管理人や正恩氏の随行工場関係者3人をモザイク処理した例がある」と説明した。

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