韓国の脱北者団体　北朝鮮に金正恩体制批判のビラ散布

【ソウル聯合ニュース】韓国で脱北者らが運営するラジオ放送「自由北韓放送」は12日、脱北者団体が9日に北朝鮮に向け、金正恩（キム・ジョンウン）体制を批判するビラ12万枚とUSB3000個を大型風船で飛ばしたと明らかにした。

キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ

　ビラには金正恩政権の核・ミサイル開発や世襲統治を批判する内容が書かれ、USBには北朝鮮の駐英公使だったが脱北し、韓国の保守系与党「国民の力」の最高委員になった太永浩（テ・ヨンホ）氏のストーリー、米国の上下院の議員が北朝鮮住民に伝えるメッセージなどが収められた。

　ビラを散布した団体は、風船に取り付けた衛星利用測位システム（GPS）で位置情報を追跡した結果、風船12個のうち11個は西部の黄海南道・黄海北道で確認されたと主張した。1個は南北軍事境界線に近い韓国北部の京畿道・坡州付近で姿を消したという。

　脱北者団体によるビラ散布が公開されるのは昨年10月以来、約半年ぶりとなる。

　自由北韓放送の金聖ミン（キム・ソンミン）代表は聯合ニュースの取材に対し、「団体は北の挑発を見ていられず、金正恩を糾弾するビラを北に送った」として、「ただ、現行法の処罰規定のため、団体名を明かさなかった」と述べた。

　韓国では北朝鮮に向けてビラを散布した場合、3年以下の懲役または3000万ウォン（約300万円）以下の罰金を科すよう定めている。ただ、韓国の統一部は同条項について憲法違反との立場を示し、同部の権寧世（クォン・ヨンセ）長官は先月、米政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ（VOA）とのインタビューで、「絶対的な悪法」と批判した。