2020年6月に北朝鮮が報じた爆破前と後の南北共同連絡事務所=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
2020年6月に北朝鮮が報じた爆破前と後の南北共同連絡事務所=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】韓国統一部は14日、北朝鮮が3年前に南西部の開城工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破したことに対し、北朝鮮に損害賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に同日起こしたと発表した。韓国政府が北朝鮮政府を相手取って訴訟を起こしたのは初めて。統一部は、今月16日に成立する爆破の損害賠償請求権の消滅時効(3年)を停止し、債権を保全するために提訴したとしている。 同部は、北朝鮮の連絡事務所の爆破で生じた国有財産の損害額を総額447億ウォン(約49億円)と算定した。北朝鮮は訴訟に応じないと予想され、その状態が続けば韓国政府が勝訴する見通しだ。ただ現段階では、勝訴しても北朝鮮に損害賠償を強制的に履行させる手段はない。 統一部は「北が暴力的なやり方で南北共同連絡事務所を爆破したことは明白な違法行為、『板門店宣言』などの南北合意違反であり、南北間の相互尊重と信頼の土台を根本的に損なう行為だ」と指摘。「北による韓国政府、国民の財産権侵害行為には断固として対処し、原則のある統一・対北政策を通じて相互尊重と信頼に基づく南北関係を確立していく」と表明した。 連絡事務所の庁舎は、元々は2007年12月に完成して開城工業団地内の南北交流協力協議事務所(経済協力事務所)として使われていた4階建ての建物だった。完成当時、「北朝鮮に位置する最初の韓国政府庁舎」と説明された。建物は18年の当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長による板門店宣言に基づき、同年9月に連絡事務所として開所した。 開所後は山林やスポーツ、保健・医療、通信など各分野の南北間会談や実務協議が連絡事務所で開かれることが増え、南北交流の拠点としての役割も果たした。 だが、19年2月のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が決裂して以降は連絡事務所での南北の所長会議が途絶え、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて20年1月に韓国側職員が引き揚げた。 20年6月13日、金正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)氏が韓国の脱北者団体による北朝鮮の体制を批判するビラの散布に反発して連絡事務所の爆破を示唆し、北朝鮮はその3日後に事務所の建物を爆破した。
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