キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ
南北共同連絡事務所は、2018年4月に行われた南北首脳会談で当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が連名で発表した「板門店宣言」に基づき、北朝鮮側の開城工業地区に設置された。建設費用は韓国側が全額負担し、韓国政府は2018年に103億ウォン、2019年に54億3800万ウォン、2020年は5月までに11億4500万ウォンを投じた。
2018年9月に開所し、スポーツ、保健・医療、通信など各分野の南北間会談や実務協議の場として使用されたほか、南北交流の拠点としての役割も果たした。また、当初は週1回、事務所の南北両代表による定例協議を開催してきたが、2019年2月の米朝首脳会談が物別れに終わって以降は中断した。
2020年1月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて南北連絡代表は協議の場を設け、事態が収束するまで、連絡事務所の運営を暫定的に中止することを決めた。ソウル・ピョンヤン(平壌)間の直通電話とファクスを開設し、南北間連絡チャンネルは維持することとしたが、2020年6月、北朝鮮は韓国の脱北者団体が金総書記を批判するビラを北朝鮮に向けて飛ばしていることに反発し、事務所の閉鎖を発表。金総書記の妹、ヨジョン(与正)氏が「裏切り者たちとゴミどもに、犯した罪の大きさを気づかせなければならない。偉大なる尊厳を傷つけた重大さを間もなく知ることになるだろう」などとする談話を出し、その3日後、事務所は爆破された。その映像は世界に配信され、衝撃を与えた。直後、韓国政府は「これによって発生するすべての問題の責任は、全面的に北朝鮮側にあることを明確にする」と発表した。
韓国統一部は今月14日、事務所を爆破し、庁舎や隣接する建物に損失を与えたとして、北朝鮮側に447億ウォンの損害賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こした。本日16日に爆破の損害賠償請求権の消滅時効が成立することから、それを前に債権を保全するため提訴に踏み切った。
統一部は「北が暴力的なやり方で事務所を爆破したことは明白な違法行為であり、『板門店宣言』などの南北合意違反だ」と指摘し、「南北間の相互尊重と信頼の土台を根本的に損なう行為だ」と非難した。その上で「北による韓国政府、国民の財産権侵害行為には断固として対処し、原則のある統一・対北政策を通じて相互尊重と信頼に基づく南北関係を確立していく」と表明した。
韓国政府の今回の提訴について、韓国紙のハンギョレ新聞は、「尹政権発足後に悪化した南北関係を象徴している」と指摘した。また、聯合ニュースは「北朝鮮は訴訟に応じないものと予想され、その状態が続けば、韓国政府が勝訴する見通しだ。ただ、現段階では、勝訴しても北朝鮮に損害賠償を強制的に履行させる手段はない」と伝えた。一方、東亜日報は「裁判所が、韓国内にある北朝鮮の財産の一部を韓国政府に賠償金として支払うよう命じる可能性もある」とし、「韓国内の放送、出版社は北朝鮮の映像著作物を使用した対価を支払っているが、累積した数十億ウォンの著作権料は韓国内の裁判所に供託されている」と指摘した。
一方、北朝鮮は事務所があった開城工業地区内で、工業団地施設の無断稼働を続けているとみられる。バスが団地に頻繁に出入りする動きや夜間に明かりがついた様子などが確認されている。聯合ニュースは、韓国政府が事務所を爆破した北朝鮮に損害賠償を求める訴訟を起こした中、開城団地施設の無断稼働などについても同様の措置を取るかどうかに注目が集まっていることを伝えた。
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