<W解説>北朝鮮の党総会、「異例」の金総書記の「演説なし」から見えること(画像提供:wowkorea)
<W解説>北朝鮮の党総会、「異例」の金総書記の「演説なし」から見えること(画像提供:wowkorea)
北朝鮮の国営、朝鮮中央通信は、朝鮮労働党中央委員会総会が今月16~18日まで開かれたと19日、報じた。総会では、先月31日の軍事偵察衛星の打ち上げについて、最も重大な失敗だったと総括され、担当の幹部が厳しく批判されたという。また、今回、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の演説はなかったとみられ、韓国の統一部(部は省に相当)は「非常に異例」との見解を示した。

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朝鮮労働党中央委員会は同党の最高機関で、総会では党や政府の重要政策を決める。年に1~2回開かれており、今年は2月にも開催された。上半期だけで2回召集されるのは異例。

朝鮮中央通信によると、金総書記も出席する中、第8回総会が16~18日に開かれた。総会で政治局は「最も厳重な欠陥は5月31日に宇宙開発部門で重大な戦略的事業である軍事偵察衛星打ち上げに失敗したこと」と指摘。早期に再打ち上げを行い、成功させるよう指示した。

北朝鮮は先月31日午前6時27分、北西部ピョンアンプクト(日平安北道)のソヘ(西海)衛星発射場から軍事偵察衛星「マンリギョン(万里鏡)1」を乗せたロケット「チョンリマ(千里馬)1」を発射した。北朝鮮の「衛星」打ち上げは2016年2月以来のことだった。これに先立ち、北朝鮮は、先月31日から今月11日の間に黄海、東シナ海、フィリピン北部のルソン島の東方面に「衛星ロケット」を打ち上げると先月、国際海事機関(IMO)に予告していた。予告期間の初日に打ち上げに踏み切ったが、発射体は1段目の分離後、2段目のエンジン点火に失敗し、韓国西部のチョルラプクト(全羅北道)・オチョンド(於青島)の西約200キロの海上に落下した。北朝鮮は朝鮮中央通信を通じ、打ち上げは失敗したと発表した。同通信は発射時の写真も公開。北朝鮮が失敗時の写真を公開するのは異例のことだった。

失敗を認めた際、北朝鮮は「できるだけ早い期間内」に2回目の打ち上げを行うと表明。今月1日には「遠からず宇宙軌道に正確に進入し、任務の遂行に着手するだろう」とする金総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)党副部長の談話が発表された。

1回目の打ち上げを前に事前に通告していた今月11日午前0時までに2回目が行われるかどうかが注目されたが、発射されることはなかった。

総会では、偵察衛星の開発について、今年で3回目となる「国防5か年計画」で掲げた5大重点目標でも極めて大きな意義を持つと強調。先月の失敗を受け、打ち上げ準備を担った幹部を批判した後、幹部と科学者に対し、失敗の原因と教訓を徹底分析した上で早い期間内に成功させるよう指示した。また、「戦闘的な課業」として「人民軍隊の偵察情報能力を向上させ、宇宙開発分野でより大きな飛躍的発展を成し遂げるために近道を講じること」が示された。

また、韓国の聯合ニュースが、朝鮮中央通信の報道として伝えたところによると、総会では、「一心団結」を守るための事業を強力に展開することが強調されたという。これについて聯合は「統制を強化するという強い意志を示したものと受け止められる」とし、「北朝鮮から脱出する住民が増加するなど体制の維持を損なう兆しが内部で観測される中、体制の動揺を懸念して打ち出した措置の可能性があり注目される」と報じた。

一方、今回の総会では金総書記による演説はなかったとみられる。韓国統一部の報道官は「衛星打ち上げが失敗し、経済など打ち出す成果がない点で、金総書記が演説をすることは難しかった側面があると推定している」との見方を示した。衛星打ち上げ失敗もさることながら、今回の総会で経済・社会分野の上半期の主要成果として挙がったのは、かんがい建設の目標達成と、住宅の建設、乳製品の供給にとどまった。

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