【ソウル聯合ニュース】韓国で南北関係を担当する統一部長官候補に指名された金暎浩(キム・ヨンホ)氏は30日、人事聴聞会の準備室が設けられたソウル市内の南北会談本部で記者団に対し「統一部の役割は変化がなければならない」として「統一部は今後原則のある、非常に価値志向の方向で政策を推進していかなければならない」との考えを示した。 金氏は、権寧世(クォン・ヨンセ)長官が強調してきた「統一政策の継承」に対する意見を問われると「政策は確実に連続性が必要だ」とする一方、「われわれが変化した状況では南北間の合意などを選別的に考慮することが必要だ」と説明した。 このような見方は「南北間の全ての合意を尊重し、履行する」という尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権のこれまでの立場とは微妙に異なる。 2018年に締結した南北軍事合意について、金氏は「今後、北が軍事分野の合意書を忠実に守らず、重大な挑発を行うなら政府もそれなりの立場を決めなければならないのではないかと思う」と述べた。 また、北朝鮮の人権問題を対北朝鮮政策の主要課題にすべきだとの見解も改めて示した。 金氏は「尹錫悦政権はグローバル中枢国家を目指しているため、人権問題は北の人権だけでなく普遍的な観点からアプローチしなければならない」として、「北の核問題、人権問題、また北が呼応するならば経済協力問題などを三位一体で議論する『朝鮮半島型ヘルシンキ宣言』を積極的に考慮しなければならない」と述べた。 ヘルシンキ宣言は、1975年に米国、ソ連、欧州の35カ国によってフィンランドのヘルシンキで相互主権尊重、戦争防止、人権保護を柱として採択され、同地は冷戦中に東西の対話の場となった。 金氏は、対北朝鮮人道支援は条件をつけずに行われなければならないという政府の方針に「全面的に同意」するとした上で、新型コロナウイルス問題や中朝国境が完全に開放されていないなど、北朝鮮の内部事情によって人道支援に関する対話が進んでいないとの見方を示した。 過去に主張していた「金正恩(
キム・ジョンウン)政権の打倒」と北朝鮮吸収統一論である「1体制統一」は今も変わらないのかとの質問に対しては「統一のシナリオについてはさまざまなことを考慮しなければならない」と述べるにとどめた。 また、吸収統一論は北に何らかの変化があった時のことだとして、強圧的な吸収統一を推進するのではなく平和統一を目指すと説明した。
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