キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ
韓国メディアは先月30日、現代グループの玄会長が、金剛山観光事業を推進した夫の故チョン・モンホン(鄭夢憲)元会長の死去から20年となるのに合わせ、来月、訪朝する意向を示していると伝えた。
同事業は、南北経済協力の一環で、1998年、南北対話を重視した金大中(キム・デジュン)政権下でスタートした。景勝地・金剛山地区には当時、年間34万人を超える観光客が訪れにぎわった。同事業は南北融和の象徴とされたが、前述した2008年の銃撃事件により中断。2018年にキム・ジョンウン(金正恩)総書記と当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領が金剛山地域への観光客受け入れを再開することで合意したが、実現しないまま現在に至る。
それどころか、同地区の韓国側の施設を北朝鮮が一方的に撤去する動きが続いており、昨年夏頃には同地区にあった金剛山文化会館、オンジョンガク(温井閣)東館と西館など観光施設や、南北離散家族の面会所などが解体された。金剛山文化会館は南北の文化交流の拠点となった施設で、かつては南北の歌手による交歓公演のほか、韓国の文化に触れることが難しい北朝鮮では異例の、韓国人歌手による単独公演も開かれた。温井閣は金剛山観光の出発地になっていた施設で、食堂や土産物店などが入っていた。
今年5月には、地区内の海金剛ホテルが完全に撤去されたことが確認された。同ホテルは、2000年10月、オーストラリアの実業家が金剛山観光地区に建設して開館した海上浮遊式のホテル。その後、現代グループの現代峨山(ヒョンデ・アサン)が買収した。金剛山を訪れた観光客の宿泊施設としてだけでなく、南北離散家族再会の会場としても活用され、南北交流を象徴する施設となってきた。
2019年10月、金剛山を視察した金総書記は同ホテルについて「見るだけで気分が悪くなる。みすぼらしい南側の施設を全て撤去すべき」と指示を出した。その後、北朝鮮は解体に着手する動きを見せたが、新型コロナウイルスの流行を理由に2020年1月、解体作業を延期することを韓国側に伝えた。しかし、昨年3月、北朝鮮は解体作業を再開した。
韓国政府は、南北の協議を経ずに韓国側が所有する建物の解体を北朝鮮が一方的に進めていることを問題視。作業が進むごとに「強い遺憾」を表明してきたが、北朝鮮側がこれに回答することは一度もなかった。
韓国の公共放送、KBSの報道によると、これまで金剛山観光地区に投じられた投資額は民間が総額4200億ウォン(約428億1300万円)、韓国政府が600億ウォンに上っている。韓国政府は、北朝鮮の一方的な韓国側施設の撤去に対して法的対応を検討しているとされるが、韓国政府が国内の裁判所に損害賠償請求訴訟を提起して勝訴しても強制執行する方法はなく、制裁の実効性はないとみられている。
こうした中、韓国統一部の当局者が先月30日に明らかにしたところによると、現代グループの玄会長側が8月の訪朝に向け北朝鮮側と接触するとして、同部に申告書を提出した。韓国国民は北朝鮮関係者と会う際、事前に政府にその計画を申告する必要があるという。玄会長側が出した届けには、鄭前会長の20周忌の追悼式典に合わせて金剛山を訪れるため、南北経済協力事業の窓口だった北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会と接触する計画が記載されていたとみられている。
韓国政府はこれを許可する方針だったが、北朝鮮外務省は1日、朝鮮中央通信を通じてキム・ソンイル局長の談話を発表し、拒否する考えを示した。キム局長は「訪問の意向について通知を受けておらず、検討する意向もない」と表明。その上で「南朝鮮(韓国)のいかなる人物の入国も許可できないというのが共和国(北朝鮮)の方針だ」と強調した。
南北関係が悪化する中、玄会長が北朝鮮指導部と接触すれば、北朝鮮の本音をわずかながらでも引き出す機会となる可能性もあったが、北朝鮮の全面拒否により玄会長の訪朝実現は難しくなった。
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