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与正氏は10、11日に相次いで談話を発表。米空軍の偵察活動を非難した。10日には同日午前5時頃から、米空軍の戦略偵察機が、北朝鮮が主張する朝鮮半島東の海上軍事境界線を越えて経済水域上空を侵犯し、北朝鮮の東部地域を偵察したと主張。「われわれの200カイリ経済水域を侵犯することは主権と安全に対する厳重な侵害」などと非難した。また、北朝鮮空軍の出撃を受けて退却した米空軍偵察機は、8時50分頃に再び海上軍事境界線を侵犯して偵察するという「厳重な軍事的挑発」を行ったとし、「既に米軍側に強力な警告を送った」と説明した。さらに与正氏は「米国のスパイ飛行機が侵犯したりするわが経済水域上空、問題の20~40キロの区間で最後には衝撃的な事件が発生するだろう」と警告した。
しかし、沿岸から200カイリの排他的経済水域(EEZ)は国際法上、沿岸国の平和や安全を害さない限り、航行や上空飛行の自由が認められている。与正氏が主張する「海上軍事境界線」は南北間で合意されていない。
与正氏は11日朝にも談話を発表し、米空軍の戦略偵察機が朝鮮半島東側の北朝鮮のEEZ上空を侵犯したと再び主張した。これを繰り返す場合、「米軍は非常に危うい飛行を経験することになるだろう」と警告した。
北朝鮮側の主張に対し、米国務省は「われわれは国際法に基づき安全に作戦を行っている。そのような非難は言いがかりに過ぎない」と否定した。また、韓国国防部(部は省に相当)も11日、北朝鮮の主張は「一考の価値もない」と一蹴した。
一連の談話で異例だったのが、与正氏が韓国を「南朝鮮」ではなく「大韓民国」と表現したことだ。10日の談話では「大韓民国の合同参謀本部」「大韓民国族属」、11日の談話では「大韓民国の軍部」という表現が使われた。11日の談話では韓国に対して「『大韓民国』の軍部はまたも米軍の挑発的な行動に関連してしゃしゃり出て、『韓米の正常な飛行活動』というふてぶてしい主張を展開し、わが主権に対する侵害事実を否定した」と指摘した。談話では、大韓民国とした部分がカッコでくくられており、強調しているものとみられる。
与正氏が「大韓民国」との表現を用いたことについて、韓国の聯合ニュースは、「北朝鮮が韓国を『別の国』とみなす姿勢を鮮明にしたとの分析が出ている」と伝えた。北朝鮮はこれまで、メディアや公式文書で韓国に言及する際、「南朝鮮」または非難の意味を込めて「南朝鮮かいらい」などといった表現を用いてきた。聯合ニュースはその理由について、「韓国が北朝鮮を『統一に向かう過程で生じた暫定的な特殊関係の対象』と位置付けているのと同様、北朝鮮も韓国を『同じ民族』あるいは『統一の対象』と見なしてきたためだ」と解説。その上で聯合は、今回、与正氏が「大韓民国」との表現を使ったことから、「朝鮮半島情勢の悪化に伴い、対韓・対米交渉の見通しが暗くなり、北朝鮮の政策が協力を通じた関係変化の模索から『敵対的共存』に主眼を置く『二つのコリア(Two-Korea)』政策へ変化した」との見方を伝えた。
また、中央日報は、「既に北朝鮮は2021年の第8回朝鮮労働党大会で、南側に対する観点を変えるような文言を労働党の規約に入れていた」と指摘。「当時、北朝鮮は労働党規約の『全国的範囲で民族解放民主主義革命課題遂行』という部分を削除し、『共和国北半部で富強、文明的な社会主義社会建設』『全国的範囲で社会の自主的、民主的な発展を実現』などの文言を入れた」とし、「キム・イルソン(金日成)政権当時から続いてきた北朝鮮主導の統一戦略を放棄し、南北の共存に重点を置いた宣言と解釈される」と解説した。
韓国・北韓大学院大学のヤン・ムジン総長は、聯合の取材に、与正氏が韓国を『大韓民国』と表現したことは北朝鮮の「2国家体制」政策の表れだとし、「今回のことを北と米国の間の問題と規定したように、この先、朝鮮半島問題について大韓民国と協議しない、相手にしないという意思がにじんでいる」と分析した。
一方、韓国統一部(部は省に相当)の報道官は「対南(対韓)非難メッセージで『大韓民国』と言及するのは初めてだ」とし、「最近の一連の動きに対し、政府は北朝鮮の意図と今後の態度を予断せず、引き続き注視していく」と話した。
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