<W解説>「ぼったくり」根絶へ、本腰を上げ始めた韓国(画像提供:wowkorea)
<W解説>「ぼったくり」根絶へ、本腰を上げ始めた韓国(画像提供:wowkorea)
韓国の人気観光スポットのミョンドン(明洞)が、10月に「価格表示義務地域」に指定されることになった。ソウル市中区は今月19日、「ぼったくり」の根絶などを目指し、観光改善総合計画を施行すると明らかにした。キム・ギルソン区庁長は「韓国を代表する観光地、明洞が変わらなければ韓国の観光産業の水準は変わらない」とし、「明洞のイメージを新たにし、観光サービス改善の模範事例にする」と話した。

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明洞といえば、ソウルを旅行したことがある外国人観光客ならば、1度は訪れたことがあるだろう、韓国の代表的観光スポットだ。明洞という地名は当時の行政区域であった「ミョンネバン(明礼坊)」に由来する。日本の統治時代には「明治町」と呼ばれ、日本人居住区として発展。文化、娯楽の中心地として栄えた。当時、明洞の商店の約90%を日本人が経営していたとされる。1930年代には三越百貨店をはじめ、5つのデパートが集まる激戦区となった。

解放後の1946年に「明礼坊」の「明」と「人が多く集まる明るい街」という意味を合わせた、現在の「明洞」という地名が生まれた。

朝鮮戦争(1950~53年)により大きな被害を受けたが、56年以降、都市再開発により高層ビルや金融機関、オフィスなどが次々に完成し、60~70年代には再びソウルを代表する繁華街として復活した。

その後、ソウル五輪や民主化を経て、ソウルの繁華街が明洞一極集中ではなくなったため、一時は活気を失うも、大型ファッションビルが登場すると再び人気の繁華街に。外国人観光客も増え、2004年頃には韓国ドラマ「冬のソナタ」ブームもあって、当時、通りを歩く人は韓国人よりも日本人が多いほどだった。その後、ブームが去ると、明洞の街は主に中国人観光客にターゲットをシフトさせ、誘客を図った。

しかし、新型コロナ禍には、街の姿は一変。外国人観光客の姿はなく、店の休業や廃業が相次いだ。

しかし、コロナ前のような活気を徐々に取り戻しつつあり、外国人観光客も続々と訪れている。コロナ禍で一旦は閉店した再オープンする店もみられる。

こうした中、明洞があるソウル市中区は、明洞全域に価格表示を義務付けることなどを盛り込んだ観光改善総合計画を策定し、今年10月から施行すると明らかにした。観光客の利用が多い土産店や、韓国コスメ店などを中心に実態を調査し、違反があった場合には最高で1000万ウォン(約110万円)の過料を科す方針。具体的には、二重価格表示やまとめ商品に個別商品価格を表示するなど、不透明な価格表示がされていないかなどを点検する。

韓国ではぼったくりが後を絶たない。徳間書店が運営するニュースサイト「アサ芸プラス」に今年4月に掲載された記事では、明洞でぼったくり被害に遭った、執筆記者の知人の話が紹介されていた。記事によると、記者の知人は、明洞にあるエステ店でマッサージを受けようとしたところ、「フェイシャルとオイルマッサージをセットで1人30万ウォン」と言われたという。執筆の記者は「明洞は観光客向けの街で、ソウルの中でも物価は高いといわれているが、人気エステ店で同等のメニューを選んだとしても1万5000ウォン程度だろう」と、法外な料金設定に驚いた。

2016年には当時のパク・クネ(朴槿恵)大統領自らが根絶を訴えたこともあった。当時、春節(旧正月)の連休を利用して韓国を訪れた中国人観光客が、ソウルの繁華街でのり巻き1本を1万ウォン(現レートで約1100円)で買わされ、帰国後にツイッターで告発したことからニュースになった。朴氏は文化観光産業の競争力強化に関する会議で「観光客が来ないと言っては嘆き、客がたくさんくれば不親切で、キムパブ(のり巻き)1本に1万ウォンもの高い代金をとるのは観光客を追い払う行為だ。そんなことで観光客が大勢来るのを願うのは矛盾している」と述べた。

韓国観光公社が先月29日に発表した韓国観光統計によると、今年5月に韓国を訪れた外国人観光客数は86万7130人で、昨年同月(17万3902人)に比べ大幅に増加した。

そんな中、今、ソウルを訪れた台湾のある女子大生のインターネットコミュニティーサイトへの投稿が話題になっている。「ソウルに二度と行かない10の理由」というタイトルのこの投稿で、女子大生は街の清潔度が低いことや、ソウルの地下鉄の不便さなどを指摘。「(旅行)3日目には、『二度と韓国に遊びに来たくない』という気持ちがハッキリした」と記している。

コロナ禍で落ち込んだインバウンド事業の復活には、韓国のみならず各国が力を入れている。女子大生の投稿に、韓国のネットユーザーからは反論も上がっているが、外国人観光客の声に耳を背けていては、インバウンド需要を取り逃がすことになる。

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