<W解説>北朝鮮が軍事パレードを通じて改めて示した中ロとの蜜月ぶり(画像提供:wowkorea)
<W解説>北朝鮮が軍事パレードを通じて改めて示した中ロとの蜜月ぶり(画像提供:wowkorea)
北朝鮮は27日夜、朝鮮戦争の休戦協定の締結から70年となるのに合わせて、首都・ピョンヤン(平壌)の広場で軍事パレードを行った。パレードにはロシアのショイグ国防相、中国共産党の李鴻忠(りこうちゅう)政治局員をそれぞれ代表する中ロ代表団がパレードを観覧。3か国の親密ぶりが改めて示される形となった。

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北朝鮮は朝鮮戦争を「祖国解放戦争」と呼んでおり、1996年に休戦協定締結日(7月27日)を「戦勝節」と定めた。北朝鮮ではこの日は祝日となっている。今年の「戦勝節」は70周年の節目にあたることから、例年以上に盛大に祝うものとみられていた。

28日午後に北朝鮮の国営、朝鮮中央テレビが放送した映像からは、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の前を隊列を組んで次々と行進する様子が確認できる。パレードには、米本土を射程に収めると推定される固体燃料式ICBM「火星18」や液体燃焼式ICBM「火星17」など、北朝鮮が核弾頭の搭載を想定するミサイルが登場した。国営、朝鮮中央通信は「火星18」について、「敵対勢力の反共和国核戦争威嚇と挑発的な侵略行為を徹底的に抑止、圧倒的に対応し、わが国家の安全を頼もしく守護する共和国戦略武力の最も強力な核心主力手段」と紹介した。また、パレードでは、米軍の軍事偵察機「グローバルホーク」に似た無人機や多目的攻撃型無人機も初めて披露され、無人機が会場の上空をデモンストレーション飛行する演出もあった。ほかにもタンク装甲師団、機械化歩兵師団、飛行縦隊、砲兵縦隊などが行進に参加した。

軍事パレードの実施は今年2月以来。朝日新聞は、「金正恩総書記が権力を継承した後、軍事パレードの頻度は徐々に増えている」と指摘した。継承した2011年12月以降、北朝鮮が軍事パレードを実施するのは今回で14回目。同紙は「12~18年の約6年半の間に計8回だったのに対し、パレードがなかった19年を除き、20~23年は3年足らずで6回実施したことになる」と解説した。

軍事パレードでは、金総書記の演説はなく、カン・スンナム(強純男)国防相が演説した。強国防相は「70年前、米帝(米国)と追従国家勢力による武力侵攻から国を堅固に守り、偉大な勝利を獲得した歓喜と万歳の叫びがあふれた広場で戦勝節の慶祝閲兵式を行えるのは、わが共和国の将兵にとって大いなる栄誉で朝鮮人民全体の大慶事。威力的な最高の戦勝祝典」と述べた。

金総書記は、中国代表団トップの李・共産党政治局員、ロシア代表団率いるショイグ国防相とともに、ひな壇からパレードを見守った。韓国の聯合ニュースは「北朝鮮がICBMをはじめとする核・ミサイル戦力を披露する閲兵式(軍事パレード)に中国とロシアの代表団を招いたのは、韓米日の連携に対抗し、朝中ロの結束を誇示する狙いがあるとみられる」と伝えた。

また、東京新聞は「中ロ両国の代表団が招かれた中で、ロシアへの異例の厚遇が目立った」と指摘。「核・ミサイル開発を進め、日米韓と対立を深める北朝鮮と、ウクライナ侵攻で兵器不足に悩むロシアとの利害が一致し、蜜月関係を強調したとみられる」と伝えた。その上で同紙は「ロシアは朝鮮戦争で休戦協定を結んだ当事者ではなく、『戦勝節』への代表団派遣は極めて珍しい。ショイグ国防相が平壌に滞在した2泊3日の間、金正恩総書記は『武装装備展示会』の案内や食事会開催など大半の日程を共にし、中国代表団より手厚くもてなした。(北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙)労働新聞が掲載した食事会の写真の背景には正恩、プーチン両氏が握手する巨大な写真が飾られていた」と報じた。

ショイグ国防相は26日には平壌の党中央委員会本部庁舎で金総書記と会談した。朝鮮中央通信は「世界や地域の安全保障」に関し、意見が一致したと伝えたが、詳しい会談内容は明らかになっていない。北朝鮮はロシアのウクライナ侵攻を支持していることから、ロシアへの武器支援をめぐり進展があった可能性もある。

北朝鮮としては、今回の軍事パレードを通じて自らの軍事力に加え、中ロ朝3か国の結束を誇示した形で、韓国の聯合ニュースは「金総書記の意図通り、国連全保障理事会の常任理事国である中ロ両国が北の核・ミサイル開発を容認していることを全世界に誇示した」と伝えた。

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