国連本部で一般討論演説を行う尹大統領=20日、ニューヨーク(聯合ニュース)
国連本部で一般討論演説を行う尹大統領=20日、ニューヨーク(聯合ニュース)
【ニューヨーク聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は20日(日本時間21日未明)、米ニューヨークで国連総会の一般討論演説に臨んだ。尹大統領は「北がロシアに通常兵器を支援する見返りに大量破壊兵器の能力強化に必要な情報と技術を得るなら、ロシアと北の軍事取引はウクライナだけでなく韓国の安全保障と平和を直接狙った挑発になるだろう」と述べ、「韓国と同盟国、友好国はこれを座視しない」と強調した。

 尹大統領は国際社会が強く連帯し原則に基づき一貫した行動を取るなら、違法な挑発を阻止できると訴え、「韓国は世界平和の促進と構築へ責任ある役割を果たしていく」と表明した。 

 北朝鮮の核・ミサイル開発については「韓国の平和への直接かつ実存的な脅威にとどまらず、インド・太平洋地域と全世界の平和に対する重大な挑戦」と指摘。さらに「国連安全保障理事会の常任理事国が他の主権国を武力侵攻して戦争を起こし、国連安保理決議に違反する政権から武器と軍需品の支援を受ける現実は自己矛盾」と批判した。こうした状況から安保理改革の必要性が幅広く支持されているとも述べた。

 尹大統領は「前例のない世界的な複合危機の中で、安保はむろん、経済、技術、保健、環境、文化などあらゆる分野で国家間の格差が拡大している」と言及し、そのうち開発、気候変動、デジタルの3分野に対する韓国の取り組みを紹介した。

 まず「韓国は政府開発援助(ODA)を果敢に拡大していく」とし、緊縮財政の中でも2024年のODA予算を前年比40%以上、19年比では2倍以上に拡大し、これを活用して支援先の国のニーズに合った開発協力を進めると説明した。

 環境分野のODAも拡大し、気候変動に十分に対応できない国の二酸化炭素排出を減らしながらクリーンエネルギーへの転換を加速させる計画だ。国際基金「緑の気候基金」に新たに3億ドル(約445億円)を拠出すると表明。国際社会が同基金の財政に積極的に寄与し、気候変動対策の格差解消に向けた意志を結集させ実質的な行動につなげていこうと呼び掛けた。

 さらに「韓国は炭素中立(カーボンニュートラル)の目標達成を前倒しするための現実的な代案として、再生可能エネルギーだけでなく原子力発電、水素といった高効率の無炭素エネルギーを幅広く活用していく」と述べ、エネルギーの脱炭素化に向けたオープンプラットフォームとして「CF連合(カーボンフリーアライアンス)」の結成を提唱した。

 デジタルディバイド(格差)については経済格差に直結するとの認識を示し、「韓国はデジタル普及と活用が不十分な国のデジタル転換を支援し、教育と保健、金融サービスへのアクセスを向上させる」と約束した。また、人工知能(AI)とデジタルの誤用・乱用が生み出す偽ニュースは自由と市場経済、未来を脅かすと警戒。「韓国はデジタル秩序の望ましい未来像を具現するため、デジタル権利章典を近く提案するつもりだ」と明らかにした。

 尹大統領は30年国際博覧会(万博)の韓国・釜山誘致に対する支持も訴えた。韓国は国際社会に寄与するため万博開催を目指しているとし、「ユーラシア大陸と太平洋をつなぐ関門、釜山で万博を開催することで、世界市民が危機を乗り越え、自由を広げていく連帯のプラットフォームを提供する」と強調した。


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