チュ・ジフン=2日、ソウル(聯合ニュース)
チュ・ジフン=2日、ソウル(聯合ニュース)
俳優チュ・ジフンのイメージが、2006年に放送されたMBCドラマ『宮~Love in Palace~』の皇太子、イ・シンにとどまっている視聴者は多いだろう。しかし、ここ3年間の彼の活動はかなり幅広いものだった。善悪の両面を持ち二重生活をする弁護士を演じたドラマ『魔王』、心に深い傷を持つ洋菓子店のオーナーを演じた映画『アンティーク~西洋骨董洋菓子店』と、慎重ながらも確実な変身を見せてきたのだが、視聴率や興行成績がふるわず、そうした面がやや隠されてしまった。

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 そんなチュ・ジフンが、新作映画『キッチン』で、また新たな姿を披露する。演じるドゥレはフランスに養子に出され育った料理人で、人妻のモレ(シン・ミナ)の心を乱す、向こう見ずでストレートな性格の青年だ。5日の封切りを前に、インタビューに応じてくれた。

 自分の気の向くままに作品を選ぶというチュ・ジフン。これまでの選択も、変身を念頭に置いたものではないと語る。「もともと勝手気ままな性格なんです。作品についてもあれこれ考えず、気のおもむくままに選ぶ。そのせいか、今でもかなり多彩なジャンルや役のオファーを受けますね」。

 『アンティーク~西洋骨董洋菓子店』と『キッチン』はいずれも料理が素材で、似たような印象を与える。試写会後、両作品のイメージが似ていると指摘する声も多く聞かれた。実際には、偶然同じ時期にオファーを受け、どちらの作品も脚本が良かったので引き受けただけで、似たような映画になりそうだから止めたほうがいいかなどとは、考えもしなかったという。『キッチン』を選んだ理由は、ささやかな日常が輝かしく描かれている点と、純真ではないが純粋なドゥレのキャラクターに、自身の昔の姿が重なったためだった。

 「2人の男性と1人の女性一緒に暮らすというのは変わっているかもしれないけれど、その中で起きる出来事は特別ではない。そんな日常を描いたストーリーがまぶしく感じられたんです。物おじしない純粋なドゥレの姿に、数年前の自分を思い出しました。社会人になりたくさんの人と出会い、純粋に交わっていたころの思い出は死ぬまで大切にしたいですから」。

 モデルとしてデビューし俳優として活動してきた6年間、ともに仕事をしてきた人々のことは「思った以上に悩みも、考えることも多い人」たちと記憶する。しかし、その当人は思った以上にずっと余裕があり、リラックスして見える。ようやく演技の楽しさを知り、胸を躍らせている20代の俳優だ。

 「『キッチン』の撮影で学んだのが”安らかさ”です。撮影現場に行くのは、毎日遠足のようでした。プレッシャーを完全になくすことはできないけれど、リラックスすることはできるんだということを知りました」。

 次回出演作は、スクリーンから舞台に移る。6日から城南アートセンターで上演されるミュージカル<ドン・ファン>で、主人公を演じる。劇中18曲を歌いこなすという大きな挑戦に向け、1か月前から猛練習中だ。インタビューに答える声もかすれている。「ただ一生懸命やればいいのではなく、うまくやらなければいけないのが仕事。ミュージカルは何も分からない状態で始めたので、寝ている時間以外はずっと練習していますが…時間が足りないですね」とため息だ。

 演技を始めてから、納得いかないことが多く、俳優にならなければ受けずに済んだ屈辱も経験したが、一度も俳優になったことを後悔したことはないというチュ・ジフン。今後も心のおもむくままに作品を選んでいくとさらりと語る。変身のための変身はしない。

 「今のままが楽しくて幸せなのに、変身しようと気うつになってはいられない。1つの作品を終えると、凝縮されていた喜びと悲しみがぴたっと終わってしまう。新しいことが感じられる作品に出会ったら、そこからまたスタートです」。
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