そのウォンビンが、ポン・ジュノ監督の映画『母なる証明(原題:マザー)』で5年ぶりにスクリーンに戻ってきた。母親に盲目的に愛される世間知らずな28歳の息子、ドジュンを演じている。
映画は『グエムル~漢江の怪物~』で最後の「観客1000万人神話」を打ち立てたポン監督、「国民の母」と呼ばれるキム・ヘジャが手を組んだということで話題を呼び、またカンヌ国際映画祭にも招かれ賞賛を浴びた。
ウォンビン の最新ニュースまとめ
日に会った。彼はいつものように落ち着いた、低い声で「役者人生の第2ラウンドを始めさせてくれた」という作品の話、初めて参加したカンヌの感想などを語った。
ポン監督についてウォンビンは、その名声をよく知っており、大監督なので一緒に作品を作るのは難しいと思っていた、と話す。「できなければ大目玉を食うのでは」と心配もあったという。
長きにわたる空白期については、除隊後はリハビリ治療に専念する時間が必要で、またいくつか作品オファーがあったものの、良い作品には出会えなかったと明かした。
そんな中、2008年秋ごろにポン監督から、まだシナリオはできていないが息子役を任せるため一度会いたいと連絡があった。そのときはドジュン役に決まっていたわけではないが、後で受け取ったシナリオに書かれたドジュンのイメージは、ウォンビンのそれと重なるところがあったという。
母親にとってすべてであるドジュンは、無邪気で愚かな男に見えるが、結局は理解できない複合的な人物だ。ポン監督は、映画で一番難しい役をウォンビンが本当によくやったとほめながら、「ウォンビンはおとなしくてやさしいが、気が小さくおかしな執着もある」と冗談交じりに話した。だがこれもまた、彼に対する賞賛だった。
重要なシーンの撮影で、監督は4回目に「これだ」と感じたが、ウォンビンは満足いかず、結局8回取り直したこともあった。監督がOKを出したとき、悪くないと思ったが、「もっといい表情が出るのでは」という思いで取り直したのだと説明する。「ポン監督とキム・ヘジャさんに迷惑をかけるわけにはいかないという思いが強かったです。2人の信頼に応える意味で、より一生懸命、ベストを尽くさなければという考えしかありませんでした」
初めてシナリオを受け取ったとき、ドジュンを「とても愛らしい」と感じたという。ドジュンをどう表現するかよりも、キャラクターそのものを定めることが一番難しく、また楽しかったと話す。「ドジュンの純粋さの終わりはどこなのか、ドジュンの内面だけを考えたので、歩き方や手振り、目の輝きが自然と合ってきたんです。彼は非常に自由なので、枠にはめるべきではないと思い、頭を空っぽにしようと非常に努力しました」
ウォンビンは最後に、母親に胸の痛みを伝えるシーンをハイライトに挙げた。すべてを知っているかのように、何も知らないかのようにしながらも、これまで積み上げてきたすべてのことを整理して表現せねばならず、最もプレッシャーを感じたシーンだったと振り返る。
一方、初めて出席した<カンヌ映画祭>は、不思議で気分のいいことだったと伝えた。カンヌの余裕を感じる時間もなく、帰国直前まで忙しくインタビューをこなしたという。
次の作品はまだ決めていないが、「映画でもドラマでも、真心が感じられる作品ならジャンルも関係なく出演するつもり」と話した。映画1作品が完全に終わってから次の仕事に集中できるとしながら、映画公開と舞台あいさつを終えてこそ次を考えられるだろうとしている。
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