WTO加盟国で米国だけが採用している「ゼロイング」は、ダンピングマージンを計算する際、輸出価格が輸出国の国内価格より低い場合はその差を根拠にダンピングマージンを算出するが、国内価格より輸出価格が高い場合はマイナスにせずゼロベースで算出するというもの。米国に製品を輸出する国が不利になる。
韓国政府は、ポスコとダイヤモンド切削工具メーカーらの要請を受け、2009年11月25日に米国の「ゼロイング」をWTOに提訴した。欧州連合(EU)やベトナムなどもWTOに提訴している。
WTOは昨年5月18日に紛争解決パネルを設置し、11月29日に暫定報告書を出した。それから2か月での最終判定は、異例の迅速対応といえる。
この判定を受け米国が「ゼロイング」を撤回すれば、ステンレス薄板と厚板を輸出するポスコの場合は年間7200万ドル(約59億円)、ダイヤモンド切削工具輸出メーカーは年間600万ドルの収益増が期待できる。
今回のWTOの最終報告書は、来月24日に開かれる紛争解決機関(DSB)の定例会議で採択される予定だ。米国は報告書の採択から6か月以内に「ゼロイング」を撤回すると予想される。
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