2000年代初め、銀行の不良債権問題で増加した長期国債保有高が2004年8月(67兆3000億円)にピークに達し、その後減少に転じたがリーマン・ショックが発生した2008年から再び増加したためと説明している。
日本の銀行の長期国債買い入れ方法は二つだ。
一つは日銀の公開市場操作を通じ年間21兆6000億円規模の長期国債を購入し、満期まで保有する方法だ。経済成長に必要な貨幣需要の増加に対応し市中に資金を安定的に供給しようとする措置だ。
もう一つは、資産買い入れ基金を通じた長期国債購入だ。政策金利が事実上ゼロ状態なため、これ以上の金利引き下げの余地がない状況において追加的な金融緩和効果を得ようとする趣旨で、2010年10月に導入された。
同基金の資産買い入れ限度は、当初5兆円だったが、その後5回にわたり拡大され、現在は40兆円に増えた。長期国債買い入れ限度は、当初1兆5000億円から現在は29兆円に急増した。
銀行の長期国債保有は政府の財政資金調達窓口として活用されることを防ぐため限度が定められており、国債の直接引き受けも禁止されている。市中でのみ国債を購入できる。
問題は、長期国債保有高が貨幣発行残高水準に迫っている点だ。
長期国債保有高は5月末現在76兆3000億円で、貨幣発行残高93兆1000億円の約82%だ。このままだと長期国債保有高は年内に貨幣発行残高水準に達するとみられる。
そうなれば銀行が政府の財政資金調達窓口機能を果たすという懸念が高まり、財政不安要因として作用する。
だが同報告書は、日本の銀行の国債購入は、国債市場の需要不足を補完し国債発行金利上昇を抑制する措置ではないため、単純に保有高が増えたからといって財政に対する警戒感がただちに高まるわけではないとしている。
同報告書は、欧州の債務危機をきっかけに各国の財政健全性に対し投資家が極めて敏感になっている状況であり、日本は政府の負債が世界最高水準であるため財政状況を注視する必要があるとしている。
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