韓国の大衆音楽史の中でも天才ミュージシャンとして今も愛されている歌手、故ユ・ジェハ。彼の30周忌を迎えました。
大学時代、作曲科に進学したユ・ジェハは生き生きと自身の音楽を追求しました。彼は、作曲のみならずピアノの演奏、バイオリン、ギターなど、多様な楽器を自由自在に操ることのできるアーティストでした。
彼は自身が好きな大衆歌謡をクラシックやジャズとも混合し、新しい音楽の世界を切り開いた人物でもありました。
彼は、1984年にバンド「チョ・ヨンピルと偉大な誕生」のキーボードとして、また1986年にはバンド「キム・ヒョンシクと春夏秋冬」でも客員メンバーとして活動しながら、自身の音楽性を伝えました。
そのように6か月ほど活動をした後、ユ・ジェハはついにソロ歌手としてデビューアルバムを準備し始め、1987年8月「愛してるから」を発表しました。
彼は自身の初アルバムの全曲を作詞・作曲、編曲までこなすなど、天才ミュージシャンと呼ばれるに充分な活躍を見せたのです。
しかし、当時の彼の歌は既存の大衆歌謡とは違いすぎたため、テレビ業界などでは大きな注目を受けることはありませんでした。それにも関わらず、音盤業界においては彼のアルバムを求める熱烈なファンが多かったといいます。“マニア”たちを中心に、少しずつ彼の音楽が広まっていくこととなりました。
そのように、彼の人気に火が着きだした頃、1987年11月1日にユ・ジェハは不運な交通事故により、突然この世を去ってしまったのです。
享年25。ユ・ジェハは当時、知人の乗用車に同乗していたところ、タクシーと衝突し、事故に巻き込まれたのでした。
これにより、同年8月にリリースされたばかりのユ・ジェハのアルバム「愛してるから」がデビュー作であり、遺作となってしまったのです。
そのようにして彼は、1枚のアルバムとたった一度のテレビ出演を残して、姿を消してしまったのでありました。
ユ・ジェハが去った後、“愛してるから”、“あなた、僕の胸に”、“過ぎた日”など全9曲が収録されたアルバム「愛してるから」は、名作として現在までも語り継がれ、多くのアーティストがカバーし、今も多くの人々の心に生き続けています。
11月1日。韓国歌謡界を代表する偉大な歌手ユ・ジェハが去った日。今日もどこかで彼の歌を聴き、涙する人で溢れることでしょう。