ユチョン
ユチョン
前作「屋根部屋の皇太子」で変化を見せてはいたが、今回は一層変わった姿を見せた。

ユチョン の最新ニュースまとめ

 役柄が”どたばた”とした強い刑事。かなりの音痴でありながら、カラオケではマイクを離さないという厚かましさも持ち合わせ、さらに血縁関係がなく複雑な関係の母親に「俺がいないからといって浮気するな!」と実の息子のように振る舞う。しかしこれは、彼が見せる演技の一例であり、そのほかの面では濃いラブストーリーである。14年間、顔も合わせずに切なく胸に抱いてきた”初恋”を描いた作品なのだ。

 K-POPスターであり、これまでは”お坊ちゃん”役を主に演じてきたユチョンがMBCドラマ「会いたい」のハン・ジョンウを通して、俳優としてグレードアップした姿を見せている。まだ、空白のか所が見えることも事実だが、彼が「上昇している」という点については異議がないようだ。

 先ごろ、MBC収録現場でインタビューに応じたユチョンは「ハン・ジョンウが運命のように近づいてきたんです」と語った。

 「ドラマ『屋根部屋の皇太子』を終えて、米国で過ごしていた時に『会いたい』のシナリオを受け取りました。夜通し読んで、すぐに出演を決めました。普段は台本を何度も読んで作品を決定するのですが、今回はすぐに決断しました」

 何より、ハン・ジョンウのようなキャラクターを演じてみたいと思っていた矢先、タイミングよくこの作品に出合ったのだという。

 「これまでは、物静かでどこか沈んだような役柄を主に演じていましたが、ハン・ジョンウはこれまでと正反対の雰囲気が強く、男性俳優であるならば誰でもやってみたいと思うキャラクターでしょう。どだばたしていて、厚かましいところもありますがカリスマもあって、アクション演技もありますしね。さらに深い恋愛を表現する部分もあり、感情の消耗も激しい役柄なので、さまざまな姿を披露できると感じました」

 去る29日まで8話を終えたユチョンは、イメージ変身に成功したという評価を受けている。ハン・ジョンウは、とぼけながらも温かみがあり、どこへ飛び跳ねていくかわからないような若く、血気盛んな人物だ。その一方で、”アキレス腱”である初恋のスヨン(ユン・ウネ)に対し、悲しい記憶とトラウマを抱えた純情な男性でもあり、この二重のキャラクターをユチョンは演じているのだ。

 「そのように見てくれているならば、とても嬉しいです。実際、かなり
悩みました。幼い頃に出会って別れ、その悲しみを14年後に持ち出すのですから、違和感があるのでは、と悩んでいたのです。ジョンウの14年の人生がどうだったのか、キャラクター分析を何度も試みました。ジョンウは思い出を懐かしむ人物ではなく、14年間も罪悪感に苛まれ、ひとりの人を探さなければという執念で生きてきたようでした。しかし、ジョンウが本来もっていた他人に配慮して、気持ちの優しい姿をそのままに見せようと思いました。実際、良い家庭に生まれて、皆に可愛がられて生きてきたという15年の歳月がありますから。その当時の習性もそのままに見せなくてはいけない、そして善良に生きているのだから、心に傷を負う前の少年時代の姿が自然に表現できれば、切ない主人公たちの関係がさらに鮮明に見せてくる、と考えました」

 ユチョンは、ハン・ジョンウという役柄を「本当に魅力的なキャラクター」とし「ジョンウの状況をそのまま受け取って演技している。いつも彼の心を考えながら、自然に演じようと努力している」と語った。

 ハン・ジョンウのように14年間、生きているかさえわからない女性を待ち続けるというのは、実際のユチョンには可能なことなのだろうか。

 「恋しいという感情は、愛とは異なるのではないでしょうか。個人的には、過去に別れた恋人との思い出に未練があるかはわかりませんが、それが愛に対する恋しさだと言うには、少し曖昧だと思います。恋愛が終わってしまえば、ある程度はその恋に執着する時間はあり、それは僕の中で全てを忘れていく頃に『本当に恋が終わったんだな』と思えるのです。そのような恋しさ、懐かしさと別には、ジョンウのように別れた女性を恋しく思ったり、探そうと思ったりしたことはありません」

 では、ハン・ジョンウの切ない愛を演じているときの感情とは、どんなものなのだろうか。

 「この作品は、とても悲しいものを秘めているため、感情移入のシーンが多く、ラブストーリーは本当に大変なジャンルなのだな、と体で感じています。感情を常に出していなければならないため、いつもエネルギーを消費している感覚です。でも、視聴者の反応が良いので楽しく撮影していますよ」

 「デビュー作『トキメキ☆成均館スキャンダル』では、どのように撮影していたのか、と思うほど慌ただしく過ぎていったのですが、振り返ってみると初めての作品が『トキメキ☆成均館スキャンダル』で本当に良かったと思います。でも、あの時は義務感が100%だったとすれば、いまは自分がやりたくて演じているという点が違うようです。実際に、『ミス・リプリー』の時までは演技がぎこちなかったです。『トキメキ☆成均館スキャンダル』直後の作品だったということもあり、良い作品にしなければ、というプレッシャーが大きくて、気持ちに余裕がなかった。でも大変さを味わった分、得たものをとても多かったです。『屋根部屋の皇太子』では、全てのことを出し尽くして、気持ちを楽に演じようと決めていたので、演技も自然になり、楽しんで撮影することができました。それで、早く次回作に挑戦したい、と思うようになりました。『JYJ』としての活動も重要なので1年に1作品と決めていたのですが、すぐに違う役柄を演じたいと思うくらい、演技に対する欲が出てきました」

 「演技は、知れば知るほど悩みも増えますが、だからと言って苦しいわけではありません」と話すユチョンは「主人公であるから、作品を引っ張っていく立場ではありますが、ドラマは作品に関わる全ての人が作り上げていくものなので、主人公も周りのたくさんの力を借りながらやり遂げるものだ、と考えるようになったら少し肩の荷が下りました」と笑顔を見せた。

 ユチョンは毎回、自分がもつ100%の力を全て出し尽くすと語る。

 「毎回、全てのことを見せています。でも、その”全て”が作品を演じる度に少しずつ増えていくようです。限界にぶち当たる経験をしながら、少しずつ成長できていると思います。今回の作品も本当に大変だ、と覚悟してスタートしました。たくさんの感情シーンがあり、良く言えば僕自身に期待をもたれているということですよね。しかし反対には、僕がここで限界を感じたら、それは挫折だ、という心配もあります。でも壁にぶつかってみれば、限界の幅がさらに広がっていくのではないでしょうか?」

 俳優としては、まだ出発地点にいるユチョンだが、歌手としては世界各地に多くのファンをもつK-POPスターだ。「東方神起」を経て、「JYJ」として活動中の彼は、演技と歌手活動を並行しながら常に殺人的に忙しいスケジュールをこなしている。それでも「幸せです」と話す。

 「幸せなんです。もちろん、ドラマ撮影と公演が重なれば大変ですが、『JYJ』の活動も重要なので2つともベストを尽くす、と考えています。こんなにたくさんの愛をもらっているのですから、これくらいの大変さは耐えられますよ。一時期は人気がプレッシャーに感じることもありましたが、いまは本当に感謝しています」

 去る28日には、「JYJ」と前所属事務所のSMエンタテインメントの法的攻防に終止符が打たれた。3年4か月という長い戦いだった。

 「嬉しいです。これまでつらかったですが、また一方ではメンバー同士支え合ってよく耐えてきたと思います。活動に障害があった分だけ、さらに頑張ってきましたし、また運が向いてきたようです。初めて『JYJ』を結成した際、事務所のスタッフは5人しかいませんでしたが、現在は40人なりました。責任感もさらに大きくなりました」

 最後に、俳優ユチョンとして何を見せたいか、聞いた。

 「僕の演技を見ながら、視聴者の方々がパワーチャージすることができ、希望をもてたら嬉しいです。演技が上手な人を見たら感動もして、心に希望が生まれますよね。僕の演技、僕の作品を通して生きる意味を見出していただけたら光栄です。人々に楽しみを与えられる、そんな俳優になりたいです」

 0