イ・ビョンホン の最新ニュースまとめ
主人公となる証券会社の支店長カン・ジェフンの複雑な感情を言葉ではなく、表情や視線で表現したイ・ビョンホンに加え、その妻スジン役として実力派女優コン・ヒョジン、キーパーソンとなるジナ役としてアン・ソヒ(元Wonder Girls)が脇を固める。
メガホンを取ったのは、名匠イ・チャンドン監督が才能を認め、本作で長編映画デビューを果たした女流監督イ・ジュヨン。そんな新人監督でありながら、豪華キャストを擁し、オーストラリアロケを敢行しながら、鮮烈な手腕を発揮したイ・ジュヨン監督が、2月16日(金)からの全国ロードショーに先立ち、キャストの魅力や制作秘話などを語ってくれた。
<B>―「エターナル」はどのような意図で企画がスタートし、脚本が完成していったのでしょうか。</b>
韓国では社会的な話題、歴史的な事件を映画化することはよくあるんですが、私はそういう事件そのものよりも、中にいる人たちに関心が高いほうなんです。今回、家族の話でもあるし、主人公としてイ・ビョンホンさんが登場しますが、これを見たとき、他人事ではなく、自分にも通じるものがある、と共感を得られる作品にしようというのが最初の目標でした。
そして、もっと早く相手の気持ちが分かっていたら、自分の気持ちを伝えられたのに、距離的、気持ちの時差があり、それができなかったことによって、悲劇に至る物語になっているんですが、もう少しお互い正直になって、自分が本当に望んでいるものは何なのか、ということについて悩んでみたいという思いで、シナリオを書き進めました。
ところが、一緒にシナリオの研究開発を手掛けてくださったイ・チャンドン監督があまりにも面白くないと言うので、何度も書き直したんです(笑)。それで、主人公の結末を変えたところ、イ・チャンドン監督が「いいんじゃないか」と言ってくださり、なんとか説得力のあるシナリオが出来上がったのではないかと思います。
<B>―イ・ビョンホンさんは今回、派手なアクションもなく、シリアスな“静の演技”をされていますが、今回一緒に仕事をしてみて、どんな印象を持ちましたか?</b>
本当に細かくて生真面目で、いろいろと悩むんですが、集中力も素晴らしいんです。集中力が高い分、私にいろんなことを質問してきたので、だいぶ苦しめられたし、小言も多かったですね(笑)。私にとっては初めての長編映画だったので、未熟なところがありましたが、本当にいい先輩に出会えて、いろんなことを学べた気がします。
イ・ビョンホンさんの立場からすると、新人監督と仕事をするというのは、負担も大きかったはずです。でも、ご本人は自分に対する自信があったから、この作品を選んだと思います。そういうイ・ビョンホンさんの自信を全ての作業が終わってから、さらに実感しました。だから、撮影前より、撮影後のほうが、もっとイ・ビョンホンさんへの好感度も上がり、尊敬するようになりました。
<B>―イ・ビョンホンさんとは、カットごとに納得いくまで意見を交わしたそうですが、カン・ジェフンというキャラクターを作っていくうえで、こだわったのはどういう部分でしょうか?</b>
この作品は、カン・ジェフンが家族の回りをグルグル回る物語なんですが、そういうことを長編映画にするには、どうして彼は家族に近づけないのか、ということをしっかり描かないと説得力がないと思いました。だから、主人公のジェフンの視点に頼って撮らなければいけないし、ジェフンは見たいものだけを見て、考えたいことだけを考えて動き回った結果、あることに気付くので、彼が見せる日常の些細な行動に、観客が信じてついていけるようにしないといけない、という部分が私にとっては難しいところでした。
でも、イ・ビョンホンさんがその微妙な差を上手く演じ分けてくれたんです。そういう点で、ほかの映画と差別化されているんじゃないかと思います。例えば歩くシーンが多いんですが、こちらとしては、何度か歩いてもらって、それをつなげばいいと考えていたんです。ところが、イ・ビョンホンさんは毎回違う歩き方をしたんです。演技が達者だということは知っていましたが、それを自分の目で確認するたびに、シナリオが持っている蓋然性をイ・ビョンホンさんが完成させてくれたと思いました。
<B>―そして、コン・ヒョジンさんはドラマで“ラブコメクイーン”と呼ばれ、そのイメージが強いですが、本作では心の奥底で葛藤する妻スジンを好演していますね。</b>
たしかに、そういうイメージが強いですが、彼女もある程度年齢を重ね、スジンのように、人生で悲しいこともたくさん経験してきたそうなんです。だから、シナリオに対して誰よりも共感してくれたし、自分からやりたいと言ってくれたんです。
ただ、コン・ヒョジンさんは自分が主導していくような女性像を演じたいという思いが強い方なので、夫が主人公で、その妻役だとすると、妻は受身の役だから、あまりやりたがらないんですが、今回はシナリオを気に入って、出演を決めてくれたようです。イ・ビョンホンさんにしても、コン・ヒョジンさんにしても、私が思っていた以上に積極的に関心を持ってくれたので、そういう2人に恵まれて幸運でした。
<B>―監督から見たコン・ヒョジンさんの魅力とは?</b>
コン・ヒョジンさんは、イ・ビョンホンさんとは全く違う準備の仕方をしていたんです。イ・ビョンホンさんは役に没頭して、密度の濃い演技を見せるスタイルなんですが、コン・ヒョジンさんは緊張せず、気楽な気持ちで、役に自分を投影させる女優さんです。アドリブは多くないんですが、事前にしっかりとシナリオを読み込んで、ト書きやセリフを全部把握しているので、まるでアドリブのように、クールに自然と演じてくれる方なんです。今回、イ・ビョンホンさんと2人で登場するシーンが多くはなかったんですけど、子役の子と会話をするとき、その長所が上手く出ていたと思います。
彼女のおかげで、子役の子も気後れせずに、気楽に演技ができていたので、子役の演技を引き出すことまで、やってくれていたと思います。緊張しないコン・ヒョジンさんと、いい意味で緊張感を持って演じてくれるイ・ビョンホンさんと、2人ともすごくいいカラーが出ていたと思います。
<B>―2人の対比が面白いですね。そして、もう1人、キーパーソンとなるジナ役は、シナリオ段階からアン・ソヒさんを念頭に置いて書かれたとか。</b>
アン・ソヒさん自体、演技の経験は豊富ではないんですが、私が持っているイメージにぴったり合ったからです。ジナは20歳ぐらいの若い女の子で、20歳というと、これから何でもできる華やかな良い時期ですよね。そういう良いときに、良くないことを経験する人物なので、どんなイメージの人が演じたら、より可哀想だと感じるか、ということを考えたとき、アン・ソヒさんがいいんじゃないかなと思いました。
アン・ソヒさんを見ていると、新しいものっていう気がするんですよ。新しいものって、キレイで光っていて、将来はさらにステキなものになりそうだという思いがあると思うんですが、まさに彼女のイメージがそうでした。そんな彼女が、ひどい目に遭ってしまったら、観客は残念な気持ちがより募るんじゃないかなと思ったし、彼女のルックスもキャラクターに合うと思いました。
<B>―撮影現場では、イ・ビョンホンさんが雰囲気を楽しくしようと、オヤジギャグなどで場を和ませていたようですが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?</b>
アン・ソヒさんはそのオヤジギャグにうんざりしていましたね(笑)。私自身は、本当に撮影が大変すぎて、モニターで演技をチェックする以外、周りで面白いことが起こっていても、それに気づかなかったんですが。イ・ビョンホンさんも、1日中撮影するなんて、ドラマでさえこんなにハードじゃないのに、と愚痴をこぼしていて、自分の年を感じると言っていました(笑)。
でも、そう言いながらも、これをやってください、とお願いすると、やってくださる責任感のある方でした。イ・ビョンホンさんはずっと同じところを回っている演技が多かったので、もどかしそうにしていたんですが、シナリオ上、もう変えるわけにもいかないし、仕方ないですよね(笑)。でも、イ・ビョンホンさんとコン・ヒョジンさん、アン・ソヒさんの3人は時間があればテニスをしたり、おいしいものを食べに行ったりしていたようです。
<B>―「エターナル」は衝撃的なラストが待ち受ける作品となっていますが、どのような部分に注目して見てほしいですか?観客にメッセージをお願いします。</b>
正直に言うと、「衝撃的なラスト」ということをものすごく期待して見てしまうと、ガッカリするかもしれないです。でも、毎日忙しく、人生に余裕のない方、現実の中でいろんな価値観が揺れている方、どうしても気に入らない選択をせざるを得ない方が1時間半、この映画を見てくだされば、少しは休める時間になるし、何かを選択するとき、客観的に自分のための選択をする手助けになる映画だと思います。
そして、多くの方がご存知の素晴らしい俳優さんたちが、微妙な感情を深い演技で表現しています。エキサイトした演技や刺激的な演技はよく見られますが、こういう演技はめったに見られないと思います。そういう面白く、細かい演技が見られるのもこの映画の長所で、1度見たら、また後で思い出せるような作品になっています。ぜひ、たくさんの関心を寄せていただきたいです。
イ・ジュヨン監督が話していた通り、この作品は物語の衝撃的な結末はもちろん、全体の9割ものシーンに登場し、セリフが少ない中、表情や視線の変化で感情を表現したイ・ビョンホンの神演技も必見!さらに、オーストラリア映画でさえ、10年間も撮影許可が下りていない、「ハーバーブリッジ」と「オペラハウス」内部で撮影するなど、オーストラリアの壮大な景観も見どころ。大作映画に一歩も引けを取らない見応えのある一作だ。
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