黒い服を着たバツイチ女性は、この桃色の靴を履いた日、赤い口紅を引いて生気を取り戻し、男と会う。彼女の6歳の娘は、桃色の靴さえ履けばバレエが上手になると信じている。少女から桃色の靴を奪った叔母は、靴に似合いそうなドレスを見ていて、ショーウィンドーの破片で足首を切って死んでしまう。
キム・ソンス の最新ニュースまとめ
<b>“コツン、コツン”呪われた足音</b>
キム・ヘスの初ホラー映画出演、ロマンス映画『ワニとジュナ』を制作したキム・ヨンギュン監督の次期作として関心を集めている映画『桃色の靴』。叙情的で美学的な映像が満載のホラー映画である。『桃色の靴』は、離婚して6歳の娘を1人で育てている眼科医師ソンジェ(キム・ヘス)がヒロインだ。彼女が地下鉄で偶然、桃色の靴を拾ったことから、事件は始まる。捨てられた桃色の靴を履いた女たちは、一様に異常な欲望に駆られる。さらに、桃色の靴を友人や母親から奪って自分のものにしようとした女たちは、命を失う。残酷にも、足首を切られて。
執着が呼ぶ破滅、血の色の描写、童話的なモチーフからスタートしたアイディアは斬新だ。桃色の靴にまつわる1940年代の怨恨、ヒロインのソンジェが経験する愛の傷と復讐、童話『赤い靴』の踊る少女のモチーフ、これらが絡まりあって進んでいく。2005年の地下鉄とレンタルオフィス、都市の裏道を歩く現代女性の姿の中に、1940年代を横切るダンサーのモダンなイメージがオーバーラップする。カメラはその中で、あちこちに視線を移し、現代人の執着が呼ぶ破滅を視覚化する。
人物の感情や、全体の色彩感にはやはり監督独自の高級感あふれる叙情が流れている。劇中劇として、ホン・スンヨプのダンスシアターオンが振り付けしたダンスシーンもある。
<b>童話的アイディア斬新も…結末弱し</b>
後半20分を残し、『桃色の靴』は単純な現象的な恐怖から、人間の内面風景が巻き起こす恐怖へと反転を試みる。監督の言葉を借りると、「1人の怨恨が登場するという、これまでの枠を脱した」
「人のものをほしがるな」という文句は、桃色の靴だけじゃなくて愛の比喩だったのかと、ヒザをぽんと叩きたくなる。
しかし、卓越したビジュアルを具現してきた映画の後半の反転が、不親切なセリフいくつかによって暗示され、映画的な緊張感は落ちてしまう。アイディアと題材はいいが、仕上げの丁寧でない建築物を見ているようだ。このため、『シックシセンス』『オールド・ボーイ』の反転アイディアを混ぜたような結末の衝撃はあまりにも弱くなっている。また、血の雪が降る夢幻的なシーンは、『血の涙』などですでに使われているので新鮮さにも欠ける。
キム・ヘスの官能的なホラー演技は見もの。前作『顔のない美女』で、境界線性格障害患者を演じ、ヒステリカルな官能美を見せたキム・ヘスのホラー演技はこの映画に安着した。
キム・ヘスと愛し合い、事件を追跡するインテリアデザイナー役をキム・ソンスが熱演している。
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