韓国映画「君だけが知らない」のキャスト、公開日、あらすじ
Q.二転三転する展開にハラハラドキドキしながらも、終盤にいくにつれて悲しくて切ないストーリー構成になっていたため、あっという間の100分でした。監督が脚本を書くときに特にこだわった部分は何でしょうか?
一番大切だと思っていたのはラストシーンでした。どうしたら秘密が明かされながらもカタルシスを感じてもらえるのだろうかという点が一番悩んだ部分です。実は今でももっと今以上のものができたのではないか…と思うくらいです。この作品は、二転三転と話が展開していきますが、この部分で描かれていたことが、ここで謎が明かされたりするという配置も考えなければならなかったので、それぞれのストーリーが上手く調和するように気を付けました。そして、観客が途中までは知らなかったけど、ある事実を映画を観ながら知って、知った時に無理なく蓋然性がしっかりと理解できるなと思ってもらうためにはどうすれば良いかと考えていました。
Q.近年、女性監督は増えてきていますが、まだまだ少ないですよね。監督が映画学校に通っていたときは女性の割合はいかがでしたか?
今は状況が変わっているのですが、私が映画学校に通っていたときは、女子学生自体が少なかったんです。定員が20名だとしたら、2人か3人くらいしかいない時期でした。
Q.韓国映画界で女性監督が描く女性主人公のサスペンススリラーはあまり多くないように思いますが、そういう点において、何か意識した部分などはありますか?
女性監督は多いとはいえないですよね。正確な数字はわからないのですが、女性監督は全体で言うと10%くらいでしょうか…。ただ今は女性監督がすごく増えている時期ではあると思います。以前、ピョン・ヨンジュ監督が「火車」(宮部みゆき原作)というスリラー映画を作ったことがあって、それがすごくいい作品でした。そんな例もあるので、女性監督がスリラーを作るのは初めてなことでもないですし、特別なことでもないのですが、やはり女性監督に対する先入観というものはありますよね。女性監督だと小さな作品やラブストーリーを撮ると思われがちなので、私自身も緊張感をもって作品を作っていました。女性監督でもジャンル映画としての非常に楽しめる作品を作れるのだということを見せたくて、その点を意識しながらがんばって作りました。
Q.劇中のソ・イェジさんとキム・ガンウさんの圧巻の演技合戦が見どころとのことですが、お二人をキャスティングした経緯・理由を教えてください。
スジンがヒロインとして物語を引っ張っていくのですが、男性の役も大切な役だと思いました。とても複雑で、秘密も多く謎も多いので、この役を演じるのはすごく難しいだろうなと思いました。ですので、まず男性の俳優さんを決めようと思い、もともと私が好きだったキム・ガンウさんにシナリオを送りました。キム・ガンウさんは、誰もが認める素晴らしい演技ができる俳優さんなのはもちろんのこと、顔立ちを見ると善と悪が共存しているんです。ジフンという役は一見優しい夫に見えますが、実は悪の部分も持っていそうな顔をしていて、一皮むくとまたさらに別の顔も見えるという、そういうさまざまな姿を見せなければならないキャラクターでした。善の部分でいうと、キム・ガンウさんは顔に表れていますし、見方によっては卑劣な顔も見せられる俳優さんなので、私自身もキム・ガンウさんのそういった顔が大好きで、この役に合うと思いました。でも最初は「シナリオは面白くて興味深いけど、とても難しい役」ということで断られてしまいました。ところが、ご本人もずっとそのシナリオが頭の中に残っていたみたいで、時間が経ってからもう一度連絡が来て、出演しますと言ってくださいました。
それからスジン役は、この映画において最初から最後までストーリーを引っ張っていかなければいけませんし、自分自身の過去とも向き合わなければならないですし、過去と向き合う勇気も必要になってきます。自分が主体となっていろんなことを解決していかなければならない強い面と事故後の弱い面など、いろいろと複雑な顔を見せなければならない役でした。どなたにお願いしようかと考えたときに、「君を守りたい~SAVE ME~」というドラマでソ・イェジさんを見て、立体的な演技を見せてくれていたので、今回のスジン役にソ・イェジさんが合うのではないかと思いシナリオを送りました。彼女の場合はスジンの役がとても良い役なので、自分も演じて表現してみたいとすぐに即答してくれました。
Q.観客のレビューには、特にキム・ガンウさんの演技が素晴らしいという感想が多く見られましたが、監督から見たキム・ガンウさんの俳優としての魅力は?
キム・ガンウさんは作品と真摯(しんし)に向き合う方で、研究しているんじゃないかと思うくらい作品を掘り下げてキャラクターを考える方でした。四六時中、監督である私にも電話をしてきたり、直接会いに来てくれたりして、たくさんの話し合いを重ねました。自分が引き受けたキャラクターを体現するために努力を惜しまない俳優さんです。最大限良い作品にするために、努力を重ねてくださって、意見もたくさんしてくれました。だから監督としては助けられましたし、なによりも信頼のおける俳優さんでした。作品に深く入り込んでいる俳優さんなので、現場に来るときにはすでに出来上がっているんです。完全に準備が整った状態で現場にいらっしゃるので、現場に来たら一切の迷いもなく演技をしてくださいました。現場は慌ただしかったりするのですが、そんな中でもしっかりと自分なりに重心をとって、集中力を発揮して、最初から最後まで演じてくれました。映画の撮影は、順番通りにいかないこともありますよね。現場の状況に合わせるために、最後の方の部分を最初に撮ることもあったのですが、すべて計算ができているので、一切の誤差もなく演じてくれていました。それは、編集の段階で見ても驚かされました。順番に撮っていないのに、こんなに感情の繋がりを見事に演じられるのか…と。すごい俳優だなと思いました。ポストプロダクションのときには、何度も何度も繰り返して映像を見ることになるのですが、見るたびに演技はもちろんのこと、かっこいい素敵な俳優だと思ってますますほれ込んでしまうような魅力があります。
Q.キム・ガンウさんにとてもほれ込んでいるようですが、また次の作品でもキャスティングされたいのでは?
そうなんです~。本当にキム・ガンウさんとはご一緒したいのですが、次の作品はもう決まっていて、ハイティーンなのでご一緒できないのが残念です。※次回作台湾映画のリメイク版、D.O.(EXO)主演『言えない秘密』
Q.いつかまた一緒にされることを楽しみにています。
私もです~。
Q.キム・ガンウさんは現場でもたくさんアイディアを出されたとのことですが、具体的にそれが形となったシーンなどがあれば教えてください。
本当にたくさんあって、ディテールな部分でも意見を言ってくださいました。朝起きてからジフンがスジンにミキサーでジュースを作ってあげるシーンがあるのですが、そのシーンでは赤い色のジュースはどうかと言ってきました。前のシーンで血が出てくるので、赤い色のジュースをミキサーで作るのはどうだろうかというアイディアを出してくれたんです。セリフに関しては2人で一緒に話し合いながら作っていった部分が多くて、撮影の前日までスマホのメッセージでやり取りをして、こう直そうとかやり取りをしながら作っていきました。本当にいろんなところで意見を出してくださいました。
Q.監督の表情を見るととても楽しく撮影していたことがわかるのですが、現場で大変だったことなどはありますか?
建設現場での撮影では、高さでいうと4、5階くらいのところで撮りました。劇中でも「安全フェンスもないのか」というセリフがあったくらい、本当に危険な状況の中で撮影しました。落ちやすいですし、とにかく緊張せずにはいられない撮影で、しかも夜のシーンだったので、日が昇らないうちに全部撮らなければならないという時間制限もあって、そのスケジュールに合わせるのも苦労しました。
Q.劇中、伏線がたくさん散りばめられていて、見ながら謎解きしていく楽しみもありますが、観客にはどんな部分に注目して見てほしいですか?
サスペンスというジャンルの緊張感も感じてほしいと思いますし、サスペンスという1つのジャンル映画の楽しみを感じてほしいなと思っています。伏線もたくさんありますし、その伏線のプロットを追って、すごく気になるなという思いで見ていただけることが目標です。そしてラストシーンでは、感動を味わってほしいと思います。そして最後に大きなカタルシスを感じていただけたら、これ以上の喜びはないですね。
映画『君だけが知らない』
10月28日(金)シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ、UPLINK吉祥寺、kino cinema立川高島屋S.C.館他全国公開
STORY
事故に遭い、記憶を失ってしまったスジン(ソ・イェジ)。夫・ジフン(キム・ガンウ)の献身的なサポートで、日常生活を取り戻していく彼女だったが、ある日、自宅マンションのエレベーターで居合わせた少女が、車に衝突する幻覚を見てしまい、身を挺して彼女を守ろうとする。それから間もなく、同じマンションで、ガス爆発事故や、女子学生が男に嫌がらせを受けているという恐ろしい幻覚を次々と見てしまい、周囲にその異変を必死で伝えようとするも、彼女が見た未来を誰も信じてはくれない。そんな鬱屈な日々を過ごす中、スジンは殺人現場を目撃してしまい、実際に死体が発見された。次第に彼女の精神は混乱していき、やがて、夫さえも怪しむようになっていく…。
監督・脚本:ソ・ユミン出演:ソ・イェジ、キム・ガンウ、パク・サンウク、ソンヒョク
2021年/韓国/韓国語/100分/カラー/スコープ/5.1ch/原題:明日の記憶/英題:RECALLED/字幕翻訳:石井絹香
配給:シンカ
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公式Twitter:@kimishira_movie Twitter:https://mobile.twitter.com/kimishira_movie
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